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脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)について

脂漏性皮膚炎とは?

脂漏性皮膚炎は、慢性的で、良くなったり悪くなったりを繰り返す(再発性)皮膚の病気です。多くの場合、症状は軽度です。
頭皮のわずかなフケ(かゆみや赤みがないもの)から、顔や体にも広がる赤みやフケまで、症状の強さには個人差があります。
この病気は、乳幼児(生後2週~12ヶ月)と、思春期以降の成人に見られます。ほとんどの場合は健康な人に見られますが、まれにパーキンソン病などの神経疾患や、HIV感染症と関連して症状が出ることがあります。

どのような症状が出ますか?

皮脂腺(皮脂を出す腺)が多い場所、特に頭皮、顔、耳、胸の上部、脇の下や股などのこすれやすい部分に症状が出やすいのが特徴です。
主な症状は、脂っぽい黄色がかったフケやうろこ状のかさぶたを伴う、赤みのある皮膚です。

部位ごとの主な症状

• 頭皮:
軽症(フケ症): 最も一般的で軽いタイプです。赤みはなく、細かく白いフケがパラパラと落ちます。かゆみは無いか、あっても軽度です。

中等症~重症: 頭皮が赤くなり、脂っぽい黄色のかさぶたが付着します。かゆみを伴うこともあります。耳の後ろに広がり、皮膚が切れたり(亀裂)、ジクジクすることもあります。

• 顔:
髪の生え際、眉毛や眉間、鼻の横(ほうれい線)などによく見られます。
ヒゲや口ひげのある部分にも出ることがあります。

• まぶた:
まぶたの縁が赤くなり、黄色いかさぶたが付着することもあります(眼瞼炎)。

なぜ起こるのですか?

はっきりとした原因はまだ完全にはわかっていません。皮脂腺そのものの病気ではありませんが、皮脂の分泌が活発な場所と関連しています。皮膚に誰もが持っている常在菌(カビの一種)であるマラセチアが、皮脂をエサにして増殖します。
このマラセチア自体や、その代謝物(皮脂が分解されてできる物質)に対して体の免疫が反応し、炎症(赤みやかゆみ)が引き起こされると考えられています。脂漏性皮膚炎は感染症ではないため、他人にうつることはありません。

どのような経過をたどりますか?

脂漏性皮膚炎は、一度治っても再発しやすい慢性的な病気です。数十年続くこともあります。

以下の要因で悪化する傾向があります。
• ストレス
• 寒く乾燥した冬の季節
逆に、夏は日光(紫外線)の影響で症状が改善することが多いです。

どのように治療しますか?

治療の目的は、症状(赤み、フケ、かゆみ)を抑え、良い状態を保つことです。完治させる(完全に治しきる)病気ではなく、症状をコントロールする(管理する)ことを目指します。

治療を繰り返したり、再発予防のために長期的な維持療法が必要になることが多いです。
主な治療薬は、原因の一つであるマラセチア菌を減らす抗真菌薬(カビを抑える薬)と、炎症を抑える抗炎症薬(ステロイドなど)の塗り薬やシャンプーです。

頭皮の治療
• 軽症(フケのみ、または軽い赤み):
原因菌であるマラセチアを抑える治療を行います。

① 抗真菌成分入りのシャンプー(市販品など):ケトコナゾール、ミコナゾールなどを含むシャンプーやリンスを使います。
② 抗真菌薬の塗り薬(処方薬):
医師から「ニゾラールローション」(ケトコナゾール配合)のような、抗真菌薬の塗り薬が処方されることがあります。

• 中等症~重症(赤み・かゆみが強い):
① 炎症を抑える治療(ステロイド):
まず、ステロイド外用薬で頭皮の強い炎症(赤み・かゆみ)をしっかり抑えます。
ローションタイプの塗り薬のほか、「コムクロシャンプー」のようなシャンプータイプのステロイド剤が処方されることもあります。
② 原因菌を抑える治療(抗真菌薬):炎症が落ち着いてきたら、軽症で使う①や②の抗真菌薬(シャンプーや塗り薬)を併用したり、切り替えたりしていきます。

日常生活でのアドバイス

• ストレスを溜めず、十分な睡眠と規則正しい生活を送りましょう。
• 洗髪や洗顔は、爪を立てずに指の腹で優しく行い、シャンプーやすすぎ残しがないようにしましょう。
• 症状が治まらない場合や、急に悪化した場合は、自己判断せず医師に相談してください。
脂漏性皮膚炎は、適切に管理すれば良い状態を保てる病気です。医師と相談しながら、根気よく治療とケアを続けましょう。