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やまもと皮膚科漢方クリニック やまもと皮膚科漢方クリニック
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デュピクセント®による治療をお考えの患者さんとご家族の方へ

1. デュピクセント®とは、どのようなお薬ですか?

デュピクセント®は、「抗体医薬」と呼ばれる注射薬です。アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、痒疹といった病気の背景にある2型炎症と呼ばれる反応を引き起こす物質(IL-4およびIL-13というサイトカイン)の働きをピンポイントで抑え込みます。これにより、皮膚の炎症やかゆみといった症状を体の内側から改善することが期待できます。

従来の免疫抑制剤と比較して安全性が高く、長期的な治療にも使用できるとされています。

2. どのような人が治療の対象になりますか?

デュピクセント®は、既存の治療で十分な効果が得られない、以下のような病気をお持ちの方が対象となります。
• アトピー性皮膚炎(中等症~重症)
ステロイド外用薬(塗り薬)などの治療で、症状が十分にコントロールできない成人およびお子様(生後6ヶ月以上)。
• 慢性特発性蕁麻疹
抗ヒスタミン薬による治療を行っても、症状が続く12歳以上の患者さん。
• 結節性痒疹
既存の治療で効果が不十分な、強いかゆみを伴う硬いしこりが多発する成人患者さん。

3. 治療の進め方

デュピクセント®は、ご自宅または医療機関で皮下に注射するお薬です。投与量や投与間隔は、病気や年齢、体重によって異なります。

• 投与間隔
o 通常、2週間ごとに注射します。

• 塗り薬との併用について(主にアトピー性皮膚炎の場合)
o デュピクセント®による治療中も、医師の指示に従ってステロイド外用薬などの塗り薬を併用するのが一般的です。症状が良くなったからといって、自己判断で塗り薬を中止しないようにしてください。

4. 期待できる効果

デュピクセント®は、それぞれの病気に対して高い効果が臨床試験で確認されています。

• アトピー性皮膚炎
o つらいかゆみを素早く軽減し、皮膚の赤みやカサつきといった症状を改善します。長期的に使用することで、良好な皮膚状態を維持することが期待できます。

• 慢性特発性蕁麻疹
o つらいかゆみと、皮膚に現れる膨疹(ぼうしん:みみず腫れ)の数を減らします。効果の発現には数週間かかることがあります。
o ※蕁麻疹の治療には、オマリズマブ(ゾレア®)という別の注射薬もあります。どちらの薬が適しているか、医師とよく相談して治療法を決定します。

• 結節性痒疹
o 多くの患者さんで、生活に支障をきたすほどの激しいかゆみが大幅に軽減され、皮膚の硬いしこりが改善することが報告されています。

5. 注意していただきたい副作用

お薬には効果だけでなく副作用もあります。デュピクセント®で報告されている主な副作用は以下の通りです。気になる症状が現れた場合は、すぐに医師や薬剤師にご相談ください。

• 比較的よくみられる副作用
o 注射した部位の反応: 赤み、腫れ、かゆみ、痛みなど。
o 結膜炎などの目の症状: 目の充血、かゆみ、乾燥、涙目、まぶたの腫れなどが報告されています。多くは軽度から中等度で、治療を続けながら点眼薬などで対処できます。症状が続く場合は、眼科の受診が必要になることがあります。
o 顔の赤み: 治療開始後に、顔や首の皮膚炎が新たに出たり、悪化したりすることがあります。

• まれにみられる副作用
o 乾癬(かんせん)に似た皮膚症状
o 関節の痛み(関節炎・付着部炎): 関節に痛みや腫れが出ることがあります。
o ヘルペス感染症

6. 治療を始める前の特に重要な注意点(主にアトピー性皮膚炎の診断の場合)

ごくまれに、アトピー性皮膚炎と症状が似ている他の病気(例:皮膚のリンパ腫である菌状息肉症など)が存在する可能性があります。デュピクセント®治療後に、そのような病気と診断された例が報告されています。
特に成人になってからアトピー性皮膚炎を発症したと診断されている方の場合、治療を開始する前に他の病気の可能性がないか、医師が慎重に診断することが非常に重要です。