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円形脱毛症について 患者様とご家族のためのガイド

はじめに:円形脱毛症とは?

円形脱毛症は、自分自身の免疫システムが、誤って髪の毛をつくる組織(毛包)を攻撃してしまうことで起こる、慢性の自己免疫疾患です。

• 突然、円形やまだら状に髪が抜けます。
• 頭皮だけでなく、眉毛、まつ毛、ひげ、体毛など、毛のある場所ならどこにでも起こる可能性があります。
• 毛根が破壊されるわけではない(非瘢痕性)ため、再び髪が生えてくる可能性は十分にあります。
• 痛みやかゆみは、ほとんどの場合ありません。
• 他人にうつる(伝染する)ことは絶対にありません。

生涯のうちに約50人に1人が経験すると言われており、決して珍しい病気ではありません。年齢や性別、人種に関わらず誰にでも起こり得ます。

原因について

詳しいメカニズムはまだ研究中ですが、主に以下の要因が関わっていると考えられています。

• 自己免疫の異常: 本来、体を守るべき免疫細胞が、自分の毛包を「異物」と勘違いして攻撃してしまうことが根本的な原因です。
• 遺伝的な素因: ご家族に円形脱毛症の方がいる場合、発症しやすい傾向があることが分かっています。
• 誘因: 強い精神的ストレス、疲労、感染症などが発症の「きっかけ」になることはありますが、ストレスだけが直接の原因ではありません。

治療について

円形脱毛症には、残念ながら「完治」させる治療法はまだありません。しかし、発毛を促し、症状をコントロールするための様々な治療法があります。治療方針は、脱毛の範囲、年齢、患者様のご希望などを考慮して、医師と一緒に決めていきます。

主な治療法

• ステロイド外用薬(塗り薬): 脱毛範囲が狭い場合の初期治療としてよく用いられます。クリームやローションなどを脱毛部分に塗布し、免疫の働きを抑えます。
• ステロイド局所注射: 成人の部分的な脱毛に効果的な治療法です。脱毛部分に直接ステロイドを注射し、毛包への攻撃を抑えて発毛を促します。通常4〜6週間ごとに繰り返します。
• 紫外線療法(エキシマライトなど): 脱毛部分に特殊な紫外線を照射する治療法です。皮膚での過剰な免疫反応を抑えることで発毛を促します。痛みはなく、比較的広範囲に点在する脱毛斑などに対して行われます。効果を得るためには、週に1〜2回程度、定期的な通院が必要になります。
• 局所免疫療法: 特殊な化学物質を脱毛部に塗り、意図的に軽いかぶれを起こすことで、毛包への攻撃を別の方向へそらす治療法です。広範囲の脱毛に有効な選択肢の一つです。
• JAK(ジャック)阻害薬(飲み薬): バリシチニブ(オルミエント®)やリトレシチニブ(リットフーロ®)といった新しいタイプの薬です。毛包を攻撃する免疫の働きを体の内側からブロックします。脱毛範囲が広い重症の患者様に高い効果が示されています。

難治性の場合やその他の選択肢

• 漢方薬による治療: 上記のような治療でなかなか効果が見られない難治性の場合、漢方薬が有用な選択肢となることがあります。漢方医学では、脱毛部分だけを治療するのではなく、ストレス、血行不良、免疫の乱れなど、心と体全体のバランスの乱れが原因と考えます。体質そのものを改善し、髪が生えやすい体内環境を整えることを目的としており、補助的な治療として検討されることがあります。

美容的な工夫

治療と並行して、あるいは治療を選択しない場合に、見た目をカバーする工夫もQOL(生活の質)を保つ上で非常に有効です。
• 頭皮: ウィッグ(かつら)やヘアピース、帽子、スカーフ、また頭を剃るという選択肢もあります。
• 眉毛: 眉墨や眉ティント、アートメイク(医療機関での施術を推奨)などが役立ちます。
• まつ毛: つけまつ毛やアイラインでカバーすることができます。

最後に

円形脱毛症の経過は一人ひとり異なり、予測が難しい病気です。思うように髪が生えてこなかったり、再発を繰り返したりして、落ち込むこともあるかもしれません。しかし、新しい治療法も次々に開発されています。

最も大切なのは、専門医である皮膚科医と相談しながら、ご自身に合った治療法や向き合い方を見つけていくことです。 どうか一人で悩まず、私たち医療スタッフを頼ってください。一緒に最適な方法を考えていきましょう。