帯状疱疹(たいじょうほうしん)について 知っておきましょう
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、多くの人が子供の頃にかかる水ぼうそう(水痘)のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因で起こる病気です。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節という場所に静かに潜んでいます。そして、加齢やストレス、過労などで免疫力が低下したときに、ウイルスが再び活性化して帯状疱疹を発症します。
主な症状は、体の左右どちらか一方に、帯状に広がる痛みやピリピリとした感覚、そしてその後に現れる赤い発疹と水ぶくれです。
主な症状
症状は以下のような順番で現れることが一般的です。
1. 前触れの痛み: 発疹が出る数日前から1週間ほど前に、皮膚にピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛のような痛みが現れます。胸や背中、腹部、顔、頭部によく見られます。
2. 赤い発疹と水ぶくれ: 痛みのあった場所に、帯状に赤い発疹ができます。その後、小さな水ぶくれに変化し、3〜4日で膿を持つようになります。
3. かさぶた: 7〜10日ほどで水ぶくれが破れてかさぶたになり、通常は2〜4週間ほどで治癒します。
発熱や頭痛、だるさを伴うこともあります。
治療について
帯状疱疹の治療の主な目的は、ウイルスの増殖を抑え、皮膚症状と痛みを和らげ、合併症を防ぐことです。
• 抗ウイルス薬: ウイルスの増殖を抑えるための飲み薬です。バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルなどが処方されます。症状が出始めてから72時間以内に飲み始めると特に効果的です。医師の指示通り、処方された期間、きちんと飲み切ることが大切です。
• 痛み止め: 痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどが処方されます。
• 塗り薬: 水ぶくれや発疹の状態に応じて、炎症を抑えたり細菌の感染を防いだりする塗り薬が使われることもあります。
注意すべき合併症:帯状疱疹後神経痛 (PHN)
帯状疱疹の最も一般的な合併症は帯状疱疹後神経痛 (PHN) です。これは、皮膚の発疹が治った後も、焼けるような、あるいはズキズキするような痛みが長期間(数ヶ月〜数年)続く状態です。特に高齢の患者さんに多く見られます。
早期に適切な治療を開始することが、この合併症のリスクを減らすために重要です。痛みが続く場合は、我慢せずに必ず医師に相談してください。
他の人にうつりますか?
帯状疱疹は、空気感染で他の人に「帯状疱疹として」うつることはありません。
ただし、水ぼうそうにかかったことのない人や水ぼうそうのワクチンを接種していない人が、患者さんの水ぶくれに直接触れると、水ぼうそうとして感染する可能性があります。
水ぶくれがかさぶたになるまでは、特に以下の方との接触は避けましょう。
• 水ぼうそうにかかったことのないお子さん
• 妊婦さん
• 免疫力が低下している方
発疹が出ている間は、患部をガーゼなどで覆い、清潔に保つことが大切です。
迷ったときはすぐに医療機関へ
帯状疱疹は、早期発見・早期治療が非常に重要です。体の片側に原因不明の痛みや違和感を感じ、その後赤い発疹が出てきたら、できるだけ早く皮膚科を受診してください。