ウイルス性イボ
✅ウイルス性イボとは?
”イボ”という言葉は、皮膚の表面から盛り上がる小さなできもの全般に対して用いられる俗称です。
最も多いのはウイルスによる感染で生じるウイルス性イボ(ウイルス性疣贅)で、いくつかの種類があります。
その中でも、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)は、主に手指や足裏の皮膚にウイルスが感染しておこります。
✅ウイルス性イボはどんな種類があるの?
日常的によく見かけるのが、上述の尋常性疣贅で、尋常性は“ふつうの”と言う意味ですので尋常性疣贅は”ふつうのイボ”という意味になります。ほかに、顔や腕にできてあまり盛り上がらない扁平疣贅、外陰部にできる尖形コンジローマ、足の裏にできるミルメシアなどがあります。
✅ウイルス性イボはどうして起こるの?
ヒト乳頭腫ウイルスと呼ばれるウイルスが皮膚表面の傷から感染することにより起こります。感染した細胞がどんどん増えて皮膚の表面に盛り上がってきたものがウイルス性イボの正体です。ヒト乳頭腫ウイルスは、尖型コンジローマや子宮頸がんを引き起こすウイルスですが、尋常性疣贅とは違うウイルスのタイプです。
大人だけでなく子供もなりやすく、感染経路としては、人から人への直接接触だけでなく、プール、ジム、銭湯などでの間接接触でも感染します。
次からはウイルス性イボの中でも一般的な尋常性疣贅について解説します。
✅尋常性疣贅の症状は?
足底、足指、手のひら、手指などに、盛り上がりのあるしこりができます。1箇所だけでなく、複数箇所にできることもあります。最初は足にできて、触ってしまうことにより手指や手のひらに症状がひろがってしまうこともあります。
早期に発見し、治療を開始することで他の場所にひろがるのを防ぎます。
✅尋常性疣贅はどのように診断するの?
問診、視診、触診にて診断します。
イボは一般的にふくらみのある「できもの」のイメージですが、足の裏にできた場合には体重がかかることによってあまり隆起せず、外観が魚の目やタコと似ていることから受診が遅れがちになるケースがあります。
他の疾患との鑑別にダーモスコピー(病変部を拡大して観察する器具)を使用することがあります。表面がザラザラしていて、少しだけ削ると黒い点が見られるのがイボの特徴です。
✅尋常性疣贅の治療法は?
液体窒素による冷凍凝固法をおこないます。液体窒素に浸した綿棒を患部に数秒押しつけます。それを数回繰り返します。その日は入浴してかまいません。液体窒素噴霧用のスプレーを使用する場合もあります。
液体窒素による冷凍凝固法は、マイナス196℃の液体窒素でイボを凍結させることによって、感染した皮膚ごと“かさぶた”になり剥がれます。剥がれた部分の下からは新たな皮膚が再生してきます。何度かくり返すことで、ウイルスに感染した部分に免疫反応がおきて正常な皮膚になります。
この治療は、1回だけではなく1~2週間に一度程度のペースで継続してクリニックに通う治療が必要になります。そのため職場や家の近くなど、無理なく通院しやすい皮膚科を選ばれることをおすすめします。
✅液体窒素による凍結療法後の注意点は?
病変の部位や深さによっては冷凍凝固法で冷やす際や後に痛みを感じることがあります。痛みが強い場合には、加減を調整しますのでご遠慮なくお申し付けください。当日や翌日に長時間歩いたり、運動する予定がある場合には、事前にお知らせください。足に負担がかからないように軽めに施術をいたします。
冷凍凝固法をおこなった数日後に、水ぶくれや血豆になることがあります。痛みが強い場合はクリニックへご相談ください。
✅当院での診療内容は?
当院では最初にウイルス性のイボなのか別のものかを診断します。
治療は、主に液体窒素による凍結療法をおこなっております。また、病変部を剥がれやすくさせるためにサリチル酸貼布剤や軟膏を使用することもあります。
さらに、当院の治療の特徴として、漢方薬内服による治療を積極的に行なっております。漢方薬の治療の適応となるのは、①液体窒素による凍結療法を行ってもなかなかよくならない場合、②小さいお子様などで凍結療法ができない場合、③多発しており液体窒素凍結療法が困難な場合などです。
さらに難治な場合は炭酸ガスレーザーで焼灼することもあります。詳細は医師にご相談ください。