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やまもと皮膚科漢方クリニック やまもと皮膚科漢方クリニック
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皮膚科で扱う主な疾患

にきび
ニキビとは?

ニキビの正式名称は”尋常性痤瘡”(じんじょうせいざそう)といいます。大人になってからできたものは吹き出物とも呼ばれています。
思春期から青年期にかけてなりやすく、青春のシンボルといわれておりますが、本人にとっては精神的ストレスになることも多く、ニキビで悩んでいる方は少なくありません。ニキビ痕にならないように、炎症が起こる前の白ニキビの段階から治療することが大切です。

ニキビはどうして起こるの?

ニキビの大きな原因は以下の3つがあります。

  • 毛穴の詰まり
  • 皮脂の過剰な分泌
  • アクネ菌の増殖

ニキビは皮脂が過剰分泌されたり、毛穴の角質が厚くなったりすることによって、毛穴の出口が詰まって皮脂がたまり、アクネ菌が毛穴の中で増殖することにより引き起こされます。
思春期には、男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌が増加します。このホルモンは皮脂腺を刺激し、過剰な皮脂分泌を引き起こすため、ニキビが悪化する原因となります。
一方、女性の場合は、月経前にホルモンバランスが変化し、皮脂分泌が増えることがあります。このため、月経前にニキビや肌荒れが悪化することが多いです。

ニキビの症状は?

おでこ、頬、あご、フェイスラインなどにできやすく、頭皮、胸、背中、おしりなどにもできることがあります。状態により白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビなどと呼ばれています。

  • 白ニキビ:初期段階で、毛穴の出口が詰まり、皮脂がたまった状態。毛穴表面はまだ閉じており、発疹は白く見えます。
  • 黒ニキビ:白ニキビが少し進行した状態。毛穴の表面が開き、空気と触れることで酸化して黒く見えます。
  • 赤ニキビ:黒ニキビがさらに悪化し、皮脂の増加によりアクネ菌が繁殖し炎症を起こした状態。発疹が赤く見えます。
  • 黄ニキビ:赤ニキビが悪化し、化膿して黄色い膿がたまった状態。

放置しておくと、しこりとして残ったり、炎症を繰り返して凹凸のあるクレーター状のニキビ痕が残ることもあります。

どんな治療法があるの?

ニキビの状態によって治療薬を決定します。
白ニキビが中心:過酸化ベンゾイル、アダパレンなどの塗り薬を使用します。
白ニキビと赤ニキビが混在:過酸化ベンゾイルやアダパレンに加え、クリンダマイシン、オゼノキサシンなどの抗生物質の塗り薬を併用します。
炎症が強い場合:抗生物質の飲み薬を使用します。ただし、長期使用は耐性菌や副作用のリスクがあるため、医師と相談しながら使用します。
漢方治療:漢方薬は西洋薬と違った機序で効果をもたらしますので、上記治療でも効果が薄い場合は併用することがよくあります。
その他の治療:ビタミンB2、B6、ビタミンCの飲み薬や、背中・胸部のニキビの場合には抗真菌剤を使用することもあります。
治療薬の効果が薄い場合は種類を変更できますので、医師に遠慮なくご相談ください。

当院での診療内容は?

当院では、保険診療を中心に、以下のような治療を行っています

  • 塗り薬と飲み薬:ニキビの状態に応じた薬を処方します。
  • 漢方治療:標準的治療で効果が見られない場合や副作用が懸念される場合に、保険適用の範囲内で漢方薬を処方します。漢方薬は便秘改善や冷え症軽減など、ニキビ以外の症状改善にも役立ちますが、副作用の可能性もありますのでご相談ください。
  • 自費診療:ケミカルピーリングやクリアタッチなどの自費治療も行なっております。詳細はスタッフにお問い合わせください。
じんましん

長引く「じんましん」でお悩みのあなたへ

「慢性じんましん」とはどんな病気ですか?

「慢性じんましん(慢性特発性蕁麻疹)」とは、はっきりした原因がないのに、蚊に刺されたような赤いふくらみ(膨疹)が、出たり消えたりする状態が6週間以上続く病気です。
多くの患者さんが強いかゆみに悩まされ、時にはまぶたや唇が腫れる「血管性浮腫」を伴うこともあります。

まず知っておいてほしい大切なこと
  • 人にうつる病気ではありません。
  • 命に関わるような重いアレルギー反応とは異なります。
  • ほとんどの場合、内臓の病気が隠れているわけではありません。
  • 多くの人で、いずれ症状はなくなります。(約半数の方が1年以内に治まります)
症状を悪化させやすい要因はありますか?

慢性じんましんは特定の原因がないことが多いですが、症状を悪化させたり、誘発したりする要因がいくつか知られています。ご自身の生活を振り返ってみましょう。

物理的な刺激
衣類の締め付け、バッグのストラップなどによる圧迫熱いシャワーやお風呂、急激な温度変化
お薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる痛み止めや熱冷まし(アスピリン、イブプロフェンなど)は、症状を悪化させることがあります。市販薬を飲む前にはご相談ください。
食べ物
特定の食物アレルギーが原因であることは稀です。しかし、一部の食品添加物や、食品に含まれる天然の化学物質が症状を悪化させる可能性を指摘する専門家もいます。
その他
ストレスや疲労
風邪などの感染症
どのような治療をしますか?

治療の目標
慢性じんましんの治療目標は、「症状をゼロ、あるいは日常生活に支障がないレベルにコントロールすること」です。症状を完全に「治す」というより、症状が出ないように「抑える」治療を続けながら、病気が自然に治まるのを待ちます。

治療の進め方

  • ステップ1:抗ヒスタミン薬の内服 治療の基本は、かゆみの原因物質である「ヒスタミン」の働きをブロックする抗ヒスタミン薬です。眠気の少ない第二世代の薬が中心となります。
    【重要】 症状がある時だけ飲むのではなく、医師の指示通りに毎日きちんと飲み続けることが、症状を安定させる上で非常に重要です。
  • ステップ2:薬の増量・変更・追加 ステップ1で症状が十分にコントロールできない場合、医師は抗ヒスタミン薬の量を増やしたり、別の種類の薬を追加したりすることを検討します。
  • ステップ3以降:専門的な治療 これらの治療でも症状がコントロールできない難治性の場合は、注射薬(生物学的製剤)やその他の免疫を調整する薬などが選択肢となります。これらの治療は、皮膚科やアレルギー科の専門医のもとで行われます。
  • 緊急時の治療 症状が急に悪化し、日常生活に大きな支障が出る場合は、短期間だけステロイドの内服薬を使うこともあります。
どのような治療をしますか?
薬はいつまで飲み続けますか?
まずは症状が完全にコントロールされた状態を数ヶ月間維持することを目指します。症状が安定していれば、医師の判断で少しずつ薬を減らしていきます。自己判断で急に薬をやめると、症状がぶり返すことがあるので注意しましょう。
この病気は治りますか?
慢性じんましんは、数年以内に自然に治ることが多い病気です。ただし、症状が5年以上続く方もいます。治療の目的は、症状がない快適な状態を維持しながら、病気が自然に落ち着くのを待つことです。

最後に

症状が思うように良くならず、不安になることもあるかもしれません。しかし、多くの患者さんで症状はコントロール可能です。
焦らず、根気よく治療を続けましょう。

水虫

水虫(足白癬)でお悩みの方へ

水虫(足白癬)とは?

水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が、足の皮膚に感染することで起こる病気です。思春期以降の大人によく見られますが、適切な治療で治すことができます。

どうして水虫になるの?

白癬菌は、湿った場所を好みます。感染は、白癬菌との直接的な接触によって起こることがほとんどです。
主な感染経路: 公衆浴場やジムの更衣室、プールのサイドなどを裸足で歩くこと。

リスクを高める要因:

  • 糖尿病などの持病がある方
  • 長時間、革靴やブーツなど通気性の悪い靴を履くこと
どんな症状がありますか?

水虫には、主に3つのタイプがあります。

  • 趾間型(しかんがた)
    足の指の間にできやすいタイプです。
    皮がむけたり、白くふやけてジュクジュクしたりします。
    かゆみを伴うことが多いですが、裂け目ができて痛むこともあります。
  • 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
    足の裏、特にかかとが硬く、カサカサになります。
    皮膚が厚くなり、ひび割れを起こすこともあります。
    かゆみはほとんどないため、水虫だと気づきにくいのが特徴です。
  • 水疱型(すいほうがた)
    足の裏や側面に、小さな水ぶくれがたくさんできます。
    強いかゆみや、時に痛みを伴うことがあります。
    これらの症状は、爪白癬(爪の水虫)や、体の他の部分の白癬(タムシなど)と一緒に起こることもあります。
治療について

水虫の治療の基本は、抗真菌薬というカビを殺す薬を使うことです。
基本は「塗り薬」
ほとんどの場合、塗り薬(外用薬)で治療します。アゾール系やアリルアミン系など、効果の高い薬がたくさんあります。

塗り方のポイント:

  • 1日1〜2回、医師の指示通りに塗ります。
  • 症状が出ている部分だけでなく、指の間から足の裏全体まで広めに塗りましょう。
  • かゆみや皮むけなどの症状が消えても、白癬菌はまだ残っています。最低でも4週間は治療を続けることが大切です。

治りにくい場合は「飲み薬」
塗り薬で効果がなかったり、症状が広範囲に及んでいたりする場合には、飲み薬(内服薬)が処方されることがあります。ネイリンやテルビナフィンやイトラコナゾールといった薬が使われます。
症状に合わせた補助的な治療

  • 角質が厚い場合: サリチル酸など、硬くなった皮膚を柔らかくする薬を併用することがあります。
  • ジュクジュクしている場合: 患部を乾燥させるための処置を行うことがあります。

自己判断は禁物です

足の皮がむけたり、かゆかったりする症状が、必ずしも水虫とは限りません。湿疹や乾癬(かんせん)など、よく似た他の皮膚病の可能性もあります。
正確な診断のためには、皮膚科で顕微鏡検査を受けることが重要です。この検査では、皮膚の一部を少しこすり取り、白癬菌がいるかどうかを直接確認します。簡単で痛みのない検査です。

日常生活での注意点と予防

治療と同時に、再発を防ぐためのセルフケアも非常に重要です。

  • 足を清潔に保つ: 毎日、石鹸で指の間まで丁寧に洗いましょう。
  • しっかり乾かす: 洗った後は、タオルで水分を完全に拭き取ります。特に指の間は念入りに。
  • 通気性を良くする: できるだけ通気性の良い靴や靴下を選び、長時間同じ靴を履き続けないようにしましょう。
  • 靴のケア: 抗真菌(防カビ)効果のあるパウダーなどを靴の中に使うのも効果的です。
  • 共有を避ける: スリッパや足ふきマットの共有は避けましょう。
爪水虫

爪水虫でお困りの方へ

そもそも爪水虫(爪白癬)って何?

爪水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が爪の中に感染することで起こる病気です。爪が白や黄色に濁ったり、厚くなったり、ボロボロと崩れやすくなったりするのが特徴です。
放置しても自然に治ることはなく、見た目が悪くなるだけでなく、次のような問題を引き起こす可能性があります。

  • 爪が厚くなることによる痛み
  • 家族など、他の人にうつしてしまう可能性
  • 糖尿病の方や免疫力が低下している方は、足の傷から細菌が入り、重い感染症(蜂窩織炎など)を引き起こすリスク
治療を始める前に:まずは正確な診断から

爪の異常は、爪水虫以外の病気が原因であることもあります。そのため、治療を始める前には、医師が爪の一部を少しだけ採取し、顕微鏡などで白癬菌がいるかどうかを確実に確認します。これにより、最も効果的な治療法を選ぶことができます。

どんな治療法があるの?

爪水虫の治療には、主に「飲み薬」と「塗り薬」の2つの方法があります。爪の状態や患者様のご希望に合わせて、最適な治療法を決定します。
飲み薬(内服薬)による治療 💊

  • 特徴: 体の内側から菌に作用するため、効果が高いとされています。特に、爪の根元まで菌が広がっている場合や、多くの爪が感染している場合に選ばれます。
  • 治療期間: 足の爪の場合、一般的に約3ヶ月〜12ヶ月です。
  • 注意点: まれに肝臓への負担や、他の薬との飲み合わせに注意が必要な場合があります。そのため、定期的に血液検査を行い、安全性を確認しながら治療を進めます。

塗り薬(外用薬)による治療

  • 特徴: 感染が軽度な場合や、飲み薬が使えない方に適しています。副作用の心配がほとんどないのが大きなメリットです。
  • 治療期間: 新しい健康な爪に完全に生え変わるまで治療を続ける必要があり、約1年が目安です。
  • 注意点: 毎日コツコツと塗り続けることが非常に重要です。途中でやめてしまうと、菌が残って再発の原因になります。
治療成功と再発防止のポイント✨

爪水虫の治療は根気が必要です。キレイな爪を取り戻し、再発させないために、以下の点を心がけましょう。

  • 医師の指示通りに治療を続ける: 爪が少しキレイになったからといって、自己判断で薬をやめないでください。菌が残っていると、すぐに再発してしまいます。
  • 足を清潔で乾燥した状態に保つ: 毎日足を洗い、指の間までしっかり乾かしましょう。汗をかいたら靴下を履き替えるのがおすすめです。
  • 足水虫も一緒に治療する: 足の皮膚に水虫(足白癬)があると、そこから爪に菌が移り、再発の原因になります。
  • 靴の選び方: 通気性の良い靴を選び、毎日同じ靴を履かずに休ませましょう。
  • 公共の場での注意: プールやジム、温泉などの共用スリッパがある場所では、自分のサンダルを使用すると安心です。

爪のお悩みは一人で抱え込まず、ぜひ医師にご相談ください。一緒に、健康で美しい爪を目指しましょう!

アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎について①〜まずは知ろう!基本の知識〜
アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う慢性的な皮膚の炎症(湿疹)です。 良くなったり(寛解)、悪くなったり(増悪)を繰り返すのが特徴で、乳幼児から大人まで、幅広い年齢層で見られます。
ご自身やご家族が、喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎などのアレルギー疾患(アトピー素因)を持っていることが多いのも特徴です。

どんな症状が出るの?

最も重要な症状は「乾燥」と「かゆみ」です。皮膚の状態は、炎症の時期や年齢によって異なります。

急性期(悪化した時):
かゆみの強い赤いブツブツ(丘疹)
じゅくじゅくして体液が出る(浸出液)
かさぶた
慢性期(症状が落ち着かない時):
皮膚がカサカサして乾燥する(鱗屑)
引っ掻き傷(掻破痕)
長期間かくことで、皮膚がゴワゴワと厚く硬くなる(苔癬化)
年齢による症状の出やすい場所
乳幼児(0~2歳):
顔(特に頬)、頭、耳
手足の伸ばす側(肘や膝の外側)
小児・思春期(2~16歳):
皮膚の曲がる部分(肘の内側、膝の裏側)
首、手首、足首
成人:
小児期と同様に曲がる部分
顔、首、手、胸、背中など、全身に広がることもあります。

※皮膚の色が濃い方の場合、赤みがピンクや赤ではなく、暗褐色や紫色に見えたり、炎症が治った後に色素沈着(黒ずみ)や色素脱失(白斑)が目立ちやすかったりする特徴があります。

どのくらいの人がなっているの?

アトピー性皮膚炎は、世界中で非常に多くの人が悩んでいる病気です。

  • 子供:世界中の子供の5~20%以上が発症すると言われています。
  • 発症時期:ほとんどのケース(約85%)は5歳までに発症します。
  • 経過:子供の頃に発症した人の約半数が、成人してからも症状が続くことがあります。
どうやって診断するの?

主に医師による診察で診断されます。以下の特徴を総合的に見て判断します。

  • かゆみがあること
  • 特徴的な皮膚症状(湿疹の見た目や分布、年齢による違い)
  • 慢性的(長く続く)、または繰り返す経過

多くの場合、診断のために血液検査(アレルギー検査など)や皮膚の検査は必須ではありません。 ただし、他の似た病気(かぶれ、乾癬など)と見分ける必要がある場合に、検査を行うことがあります。

注意したい合併症

皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌やウイルスに感染しやすくなります。

細菌感染(とびひ):
黄色ブドウ球菌などによって起こります。
じゅくじゅくしたり、黄色いかさぶたができたり、急に悪化したりします。
ウイルス感染(カポジ水痘様発疹症):
単純ヘルペスウイルスによって起こります。
急に小さな水ぶくれ(時に中央がくぼむ)が広がり、発熱や痛みを伴うことがあります。
すぐに医療機関を受診してください。
アトピー性皮膚炎について②〜なぜ起こる?日常の対策〜
なぜアトピー性皮膚炎になるの?

アトピー性皮膚炎のはっきりとした原因はまだ完全にはわかっていませんが、「体質的な要因」と「環境的な要因」が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

主な要因は以下の3つです。

  • 皮膚の「バリア機能」の低下
    私たちの皮膚は、外部の刺激(乾燥、細菌、アレルゲンなど)から体を守り、内部の水分が逃げないようにする「バリア機能」を持っています。 アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は、このバリア機能が生まれつき弱い傾向があります。
    • フィラグリンの不足:皮膚のバリア機能に重要な「フィラグリン」というタンパク質が不足していることが多く、これが乾燥肌や刺激に弱い肌の原因となります。
  • 免疫の異常
    皮膚のバリアが壊れると、外から侵入した刺激物やアレルゲンに対して免疫システムが過剰に反応しやすくなります。 特に「Th2」というタイプの免疫反応が強くなり、皮膚の炎症やかゆみを引き起こす物質(サイトカイン)が過剰に作られます。
  • かゆみと引っ掻きの悪循環
    アトピー性皮膚炎のかゆみは、単なる症状ではなく、病気を悪化させる大きな要因です。
    • かゆいところを掻きむしる(引っ掻き) →
    • 皮膚のバリアがさらに壊れる →
    • 炎症が悪化し、さらにかゆくなる
    この悪循環は「イッチ(かゆみ)・スクラッチ(引っ掻き)・サイクル」と呼ばれ、症状を慢性化させます。
治療の3本柱

アトピー性皮膚炎の治療は、以下の3つを組み合わせて行います。 特にご自身でできるケア(1と3)について解説します。

  • スキンケア(皮膚のバリア機能を補う)
  • 薬物療法(皮膚の炎症を抑える)
  • 悪化要因の対策(刺激を避ける)
1. スキンケア:うるおいを保ち、守る
治療において最も重要な基本です。薬を塗るのと同じくらい大切です。
入浴・シャワー
目的:皮膚を清潔にし、うるおいを与えます。汗や汚れ、細菌、アレルゲンを洗い流します。
方法:
お湯はぬるま湯(38~40℃)で。
低刺激性の石鹸や洗浄剤をよく泡立てて、手で優しく洗います。ゴシゴシこすらないでください。
洗浄剤はしっかり洗い流します。
保湿剤
目的:皮膚のバリア機能を補い、水分の蒸発を防ぎます。
いつ塗るか:
入浴・シャワーの直後(できれば5分以内)が最も効果的です。
その他、朝や乾燥を感じた時など、1日に最低2回以上、こまめに塗ります。
選び方:無香料で刺激の少ないもの。軟膏、クリーム、ローションなど様々なタイプがあります。大切なのは、ご自身が「心地よく毎日続けられる」ことです。
塗り方:たっぷりと、皮膚がテカるくらい優しく塗ります。
3. 悪化要因の対策
日常生活で症状を悪化させる要因を減らすことも大切です。
刺激を避ける
  • 汗:汗は刺激になるため、かいたらこまめに拭くか、シャワーで流し、その後必ず保湿します。
  • 衣類:チクチクするウールや化学繊維を避け、肌触りの良い綿(コットン)素材を選びます。
  • その他:洗剤、香水、化学物質などの刺激物、乾燥しすぎた環境、寝不足、ストレスも悪化要因になります。
アレルギーとの関係

アトピー性皮膚炎の患者さんは、他のアレルギーを合併しやすい傾向があります。

食物アレルギー:
乳幼児期では、牛乳、卵、小麦などがアトピー性皮膚炎を悪化させることがあります。
しかし、多くの場合、食べ物が皮膚炎の直接の原因ではありません。
自己判断での食事制限は絶対にやめましょう。栄養不足になったり、かえって重いアレルギーを発症するリスクがあります。必ず医師と相談してください。
環境アレルゲン(ダニ・花粉など):
ダニ(ハウスダスト)は、アトピー性皮膚炎の悪化要因になることが知られています。
こまめな掃除、寝具の洗濯や掃除機がけが有効な場合があります。
重症の場合、ダニに対するアレルゲン免疫療法が皮膚症状の改善に役立つこともあります。
アトピー性皮膚炎について③〜専門的な治療と対策〜
治療の目標

アトピー性皮膚炎の治療目標は、病気を「完治」させることではなく、「症状がないか、あっても軽い状態を維持し、快適な日常生活を送ること」です。 スキンケア(②参照)と並行して、炎症を抑える「薬物療法」を行います。
薬物療法:炎症とかゆみを抑える
炎症の強さや場所、年齢に応じて、様々な薬を使い分けます。

塗り薬(外用薬)

ステロイド外用薬:
炎症を抑える最も基本的で効果的な薬です。
強さにランク(最強~最弱)があり、医師が年齢、部位(顔は弱め、体は強めなど)、炎症の程度に応じて使い分けます。
怖がって塗る量が少なすぎると、かえって炎症が長引いてしまいます。医師の指示通り、必要な量をしっかり塗ることが大切です。
タクロリムス軟膏(プロトピック®)など(外用カルシニューリン阻害薬):
ステロイドとは異なる仕組みで炎症を抑える薬です。
皮膚が薄くなる副作用がないため、顔や首など、デリケートな部分の治療や、良い状態を維持するために使われます。
その他の新しい塗り薬:
PDE4阻害薬(ジファミラスト軟膏)
JAK(ジャック)阻害薬(デルゴシチニブ軟膏)
AhR調整薬(タピナロフクリーム)
これらはステロイドとは異なる新しいタイプの薬で、炎症やかゆみを抑えます。
治療のコツ:「プロアクティブ療法」

アトピー性皮膚炎は、見た目がきれいになっても、皮膚の下に炎症の「火種」が残っていることがあります。

プロアクティブ療法とは:
湿疹が良くなった(寛解した)後も、保湿剤は毎日続けながら、週に2~3回など間隔をあけて、湿疹がよく出ていた場所に塗り薬(ステロイドやタクロリムス軟膏など)を塗り続ける治療法です。
この「火種」を抑えることで、再発(フレア)を防ぎ、良い状態を長く保つことを目指します。
中等症~重症の場合の治療法

塗り薬だけではコントロールが難しい場合、以下の治療法を組み合わせます。

飲み薬(内服薬)

抗ヒスタミン薬:
かゆみを和げる補助として使います。
免疫抑制剤(シクロスポリンなど):
重症の患者さんに使用し、強い炎症を抑えます。
JAK阻害薬(飲み薬):
炎症やかゆみの信号を体の内側からブロックする新しいタイプの薬です。
効果が早く現れやすいのが特徴です。(例:バリシチニブ、ウパダシチニブなど)
漢方薬:
標準的な治療でなかなか良くならない(難治な)場合、体質や症状に合わせて、炎症やかゆみを抑えたり、皮膚の状態を改善したりする目的で、当院では漢方薬を用います。漢方は標準治療とは異なる作用機序ですので、標準治療と併用することも可能です。
ステロイド内服:
急激な悪化時に短期間だけ使うことがありますが、リバウンド(急な悪化)のリスクがあるため、通常は避けます。

注射薬(生物学的製剤)

  • アトピー性皮膚炎の炎症の中心となる物質(IL-4, IL-13, IL-31など)の働きをピンポイントで抑える薬です。
  • かゆみや湿疹に対して高い効果が期待でき、自宅での自己注射も可能です。(例:デュピルマブ、レブリキズマブ、ネモリズマブなど)

光線療法(紫外線療法)

  • 特定の波長の紫外線(ナローバンドUVBなど)を皮膚に当てる治療法です。
  • 免疫の働きを調節し、炎症やかゆみを抑えます。
  • 週に数回、病院に通う必要があります。
つらい「かゆみ」への対処法
  • まず炎症を抑える:かゆみの最大の原因は「炎症」です。まずは塗り薬でしっかり炎症を治療しましょう。
  • 冷やす:冷たいタオルや保冷剤でかゆい部分を冷やすと、一時的にかゆみが和らぎます。
  • 爪を切る:爪を短く切り、丸く整え、かき壊しによる皮膚のダメージを最小限にします。
  • 薬の活用:飲み薬(抗ヒスタミン薬、JAK阻害薬、漢方薬など)や注射薬もかゆみを抑えるのに役立ちます。
  • 刺激を避ける:汗を放置しない、衣類の素材に気をつけるなど、日常の対策(②参照)もかゆみ対策になります。

アトピー性皮膚炎は、適切な治療とセルフケアを根気強く続けることで、必ずコントロールできる病気です。 治療法は日々進歩しています。一人で悩まず、医師とよく相談しながら、あなたに合った治療法を見つけていきましょう。

しみ

あなたの「しみ」はどのタイプ?

はじめに:その「しみ」、実は一つではありません

鏡を見るたびに気になるお肌の「しみ」。 ひとことに「しみ」と言っても、医学的にはいくつかの種類に分類されます。長年の紫外線の影響によるもの、ホルモンバランスが関係するもの、あるいは生まれつきのアザに近いものなど、原因は様々です。
種類によって効果的なケアや治療法が異なるため、まずは自分のしみがどのタイプかを知ることが大切です。

主な「しみ」の4大タイプ
  • 老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)
    ~最も一般的な「しみ」~
    • 特徴: 丸くて茶色い、境界線がはっきりとしたしみです。数ミリから1cm以上の大きさになることもあります。
    • 場所: 顔、手の甲、腕など、日光(紫外線)がよく当たる場所にできやすいです。
    • 原因: 長年の紫外線ダメージの蓄積によってメラニンが過剰に作られることで発生します。加齢とともに増える傾向があります。
    • 治療: レーザー治療が一般的です。
  • 雀卵斑(じゃくらんはん)
    ~いわゆる「そばかす」~
    • 特徴: 鼻を中心に、小さな茶色の斑点が散らばるように現れます。
    • 原因: 遺伝的な要因が強く、子供の頃から見られることが多いです。
    • ポイント: 紫外線で色が濃くなりますが、冬になると薄くなる傾向があるのが、他のしみとの大きな違いです。
  • 肝斑(かんぱん)
    ~ほほ骨のあたりにモヤッと広がる~
    • 特徴: 境界がはっきりせず、左右対称に、ほほ骨のあたりにモヤモヤと広がるのが特徴です。
    • 原因: 30〜40代の女性に多く、ホルモンバランスの乱れや摩擦などの刺激が影響していると言われています。
    • 注意: 一般的なレーザー治療で悪化することがあるため、診断が非常に重要です。
  • 老人性角化症(ろうじんせいかくかしょう)
    ~盛り上がりのある「イボ」のようなしみ~
    • 特徴: 茶色〜黒色で、表面がガサガサ・ザラザラしており、少し盛り上がっているのが特徴です。
    • 原因: 長期間の紫外線ダメージによる皮膚の老化現象の一つです。
    • 治療: 液体窒素による凍結療法や、炭酸ガスレーザーなどで除去します。

その他:実は「アザ」の一種かもしれません

  • 後天性真皮メラノサイトーシス(ADM):20歳以降に、おでこや頬にグレーや青みがかった茶色のしみが左右対称に出ることがあります。肝斑と間違われやすいですが、皮膚の深い所にあるため治療法が異なります。
  • 扁平母斑(カフェオレ斑): 生まれつき、または幼少期からある茶色のあざ(Café-au-lait macule)です。均一な茶色で、大きさは様々です。

治療について
「しみ」の種類を正しく見分けることは、正しい治療への第一歩です。 例えば、「老人性色素斑」だと思ってレーザーを当てたら、実は「肝斑」が隠れていて色が濃くなってしまった、というケースも少なくありません。
当院では、医師が肌の状態を診察し、しみの種類(あるいは複数のしみの混在)を診断した上で、最適な治療法をご提案します。

  • 内服・外用薬: トラネキサム酸、ビタミン剤、ハイドロキノンなど
  • 医療機器による治療: ピコレーザー、CO2レーザーなど
日頃のケア

どのタイプのしみであっても、紫外線対策は共通して重要です。 日光による”しみ”は「光老化」のサインです。日焼け止めを一年中塗る、帽子や日傘を使うなどして、新しいしみを予防し、今あるしみを濃くしないようにしましょう。

手湿疹

長引く「手湿疹(手荒れ)」を治すために

~原因を知って、正しい治療とケアを始めましょう~

手湿疹(いわゆる手荒れ)は、美容師さんや飲食業、医療従事者の方など「水仕事」が多い方に職業病として多く見られますが、家事や育児を行う一般の方にも非常にありふれた病気です。 「ただの手荒れ」と放置せず、適切な治療とケアを行うことが、快適な日常生活を取り戻す近道です。

手湿疹(てしっしん)とは?

手の皮膚に炎症が起きている状態です。3ヶ月以上続いたり、1年に2回以上再発したりする場合は「慢性手湿疹」と呼ばれます。

主な症状

  • 急性期: 赤み、腫れ、小さな水ぶくれ(小水疱)、ジクジクする
  • 慢性期: 皮膚が厚くなる、カサカサする(鱗屑)、ひび割れ(亀裂)、皮がむける
なぜ起こるの?(原因と悪化要因)

手湿疹の原因は一つではなく、体質と環境要因が重なって起こります。

  • 水仕事:
    • 水、石鹸、洗剤に触れる時間が長いと、皮膚のバリア機能(脂質)が洗い流され、刺激を受けやすくなります。
    • 1日2時間以上の水仕事や、頻繁な手洗いは大きなリスクです。
  • 刺激物質・アレルギー物質:
    • 刺激物: 洗剤、消毒液、食材(生肉、野菜、果物)、土、ホコリ、摩擦など。
    • アレルギー: ゴム手袋、金属(ニッケル等)、香料、保存料など。
  • 体質:
    • アトピー性皮膚炎の既往がある方や、肌のバリア機能に関わる遺伝子(フィラグリン)のタイプによって、手荒れしやすい傾向があります。
  • ストレス:
    • 重症の手湿疹はストレスの原因にもなり、またストレスが悪化の要因になることもあります。
治療について

皮膚科での治療の基本は、「炎症を抑えること」と「保湿」の2本柱です。

  • 基本治療(塗り薬)
    • ステロイド外用薬:
      • 炎症を抑えるための中心的なお薬です。症状に合わせて「強め(Strong~Very Strong)」のランクを使用することが一般的です。
      • 重要なポイント: 良くなったからといって自己判断ですぐに止めず、医師の指示通りに塗り続けたり、週に2~3回塗る「維持療法」を行うことで再発を防ぎます。
    • 保湿剤:
      • 皮膚のバリア機能を補うために、1日に何度でもたっぷりと塗ります。
  • その他の治療(重症・難治性の場合)
    塗り薬で良くならない場合、以下のような治療を検討することがあります。
    • 光線療法: 患部に特殊な紫外線(エキシマライトなど)を当てる治療法。
    • 新しい塗り薬: ステロイドとは異なる作用(JAK阻害薬など)の新しい外用薬も登場しています。(アトピー性皮膚炎に合併する手湿疹の場合は保険適応となります)
    • 飲み薬: 重症度に応じて、短期間のステロイド内服や、その他の免疫に関わるお薬を使うことがあります。
日常生活で気をつけること(セルフケア)

お薬と同じくらい重要なのが、手への刺激を減らす「生活の工夫」です。

手洗い・洗浄のコツ
  • 洗いすぎない: 手洗いの回数は必要最小限にしましょう。汚れがない場合は、アルコール消毒の方が手荒れのリスクが低いというデータもあります(ただし、しみる場合は控えてください)。
  • ぬるま湯で: 熱いお湯は皮脂を奪います。ぬるま湯を使いましょう。
  • 優しく洗う: 香料の入っていない低刺激の石鹸を使い、ゴシゴシこすらずに洗います。
  • しっかり拭く: 指の間まで水分を優しく拭き取りましょう(指輪の下の水分にも注意)。

手袋の活用(保護)

  • 水仕事、掃除、調理、園芸の際は必ず手袋をしましょう。
  • 「綿手袋」を下着に: ゴムやビニールの手袋を直接つけると、汗で蒸れて逆効果になることがあります。下に「綿の手袋」を着用してから、ゴム手袋をつけるのがベストです。綿手袋はこまめに洗濯しましょう。

こまめな保湿

  • 手洗いの後は、「すぐに」保湿剤を塗りましょう。
  • ワセリンなどの油分の多い保湿剤が効果的です。ベタつきが気になる場合は、日中はクリームやローション、夜は軟膏と使い分けるのも良い方法です。
検査について(パッチテスト)

治療をしていてもなかなか治らない場合、何らかの物質に対する「かぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)」が隠れている可能性があります。 その場合、原因を特定するために、背中に試薬を貼って反応を見る「パッチテスト」を行うことがあります。

最後に

手湿疹は「治った」と思っても、またすぐにぶり返しやすい病気です。数年単位で付き合っていくこともあります。 しかし、適切な治療と毎日のケア(手袋の着用など)を根気強く続けることで、症状をコントロールし、快適に過ごすことができます。

あきらめずに、一緒に治療に取り組んでいきましょう。

やけど

「やけど(熱傷)」の治療とご自宅でのケアについて

やけどの多くは、入院を必要としない軽度なものですが、きれいに、そして早く治すためには「正しい初期対応」と「適切なホームケア」がとても大切です。 当院での治療方針と、ご自宅で注意していただきたい点についてまとめました。

あなたのやけどはどの深さ?

やけどは深さによって分類され、それによって治療法や治るまでの期間が異なります。

  • Ⅰ度(表面のやけど):
    • 日焼けのように赤くなり、ヒリヒリ痛みますが、水ぶくれはできません。
    • 特別な処置は不要で、保湿剤(ワセリンなど)で保護するだけで数日で治ります。
  • Ⅱ度(部分的な深さのやけど):
    • 水ぶくれ(水疱)ができるのが特徴です。強い痛みがあります。
    • クリニックでの処置(軟膏やドレッシング材)が必要です。通常2〜3週間で治ります。
    • ※このパンフレットでは、主にこのタイプのケアについて説明します。
ご自宅での処置・ケア方法

「傷口は消毒する」「乾燥させる」というのは昔の常識です。現在は「優しく洗い、適度な湿り気を保つ」ことが、痛みを減らし、傷を早く治すコツです。

  • 洗浄(毎日行いましょう)
    • 消毒液は使いません: イソジンなどの消毒液は、傷を治そうとする細胞まで痛めてしまうため、基本的には使用しません。
    • 石鹸と流水で洗う: 1日1回、ドレッシング(ガーゼなど)を交換する際に、弱酸性の泡石鹸と水道水で優しく洗ってください。古い軟膏や浸出液を洗い流すことで、感染を防ぎます。
  • お薬を塗る
    • 医師から処方された軟膏(抗生物質入り軟膏など)や、創傷被覆材(ドレッシング材)を使用します。
    • 傷が乾かないように、たっぷりと塗るのがポイントです。
  • 保護する(ガーゼ・包帯)
    • 薬を塗った上から、傷にくっつきにくいガーゼや被覆材で覆います。
    • 手足のやけどの場合: 指同士がくっつかないように、1本ずつガーゼを挟んだり包んだりする必要があります。

これだけは守ってください(重要事項)

氷で直接冷やさないで!

受傷直後の冷却は痛み止めとして有効ですが、氷や氷水を直接当て続けると、血行が悪くなり傷が深くなることがあります。冷やす場合は「水道水(流水)」や「冷やした濡れタオル」を使用し、冷やしすぎ(低体温)に注意してください。

水ぶくれ(水疱)は無理に破らないで!

小さな水ぶくれ(2cm以下)は、天然の絆創膏の役割をして傷を守っています。無理に破かず、そのままにしてください。
  • もし自然に破れてしまった場合は、薄皮を取り除き、洗って軟膏を塗ってください。
  • 大きな水ぶくれや、破れて汚れてしまった皮は、クリニックで処置(デブリードマン)します。
こんな時はすぐに受診してください(感染のサイン)
やけどの傷は細菌感染を起こしやすい状態です。以下のサインが見られたら、予約日を待たずに受診してください。
  • 赤みが広がっている: 傷の周囲の赤みが、2cm以上外側に広がってきた。
  • 痛みが増している: ズキズキとした痛みが強くなってきた。
  • 膿(うみ)が出る・臭う: 傷口から嫌なニオイがしたり、ドロっとした膿が出る。
  • 熱が出る: 37.5度以上の発熱がある。
治癒の目安と傷あとについて
  • 治るまでの期間: 浅いⅡ度のやけどであれば、通常2週間〜3週間で皮膚が再生(上皮化)します。
  • 基幹病院への紹介: 1週間たっても治る兆候(上皮化の開始)が見られない場合
    • 当初の診断よりも傷が深いことが判明した場合
    • 関節や顔など、機能や見た目に重要な場所で、傷あと(肥厚性瘢痕)が残りそうな場合
  • 上記のような場合は、より専門的な治療が可能な基幹病院へご紹介することがあります。
お薬について
  • 痛み止め: 痛みが強い場合は、我慢せずに処方された痛み止め(アセトアミノフェンやロキソニン等)を服用してください。処置の30分前に飲んでおくと、ガーゼ交換時の痛みが和らぎます。
  • 破傷風ワクチン: 傷の深さや汚れ具合によっては、破傷風の予防接種が必要になることがあります。医師の指示に従ってください。
ほくろ

知っておきたい「ほくろ」のこと

~正しい知識とチェックポイント~

はじめに

「ほくろ(色素性母斑)」は、皮膚にあるメラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が増えてできた良性のできものです。誰にでもあるものですが、その種類や特徴、注意すべき変化について正しい知識を持つことが大切です。

ほくろはどうしてできるの?

ほくろができる原因には、いくつかの要素が関係しています。

  • 遺伝: ほくろができやすい体質は遺伝することがあります。
  • 紫外線: 特に子供の頃に強い日差しを浴びると、ほくろができやすくなります。
  • 肌のタイプ(人種差): 肌の色が薄い人ほど、ほくろができやすい傾向があります。
  • その他: 免疫抑制剤の使用やホルモンバランスの変化なども影響することがあります。
ほくろの成長と変化

ほくろは年齢とともに見た目が変化することがあります。これは自然な老化現象の一種です。

  • でき始め(境界母斑): 平らで茶色〜黒色。皮膚の浅い部分にあります。
  • 盛り上がり(複合母斑): 少し盛り上がってきます。
  • 成熟(真皮内母斑): 皮膚の深い部分に移動し、色は薄くなり(肌色に近づく)、ドーム状に盛り上がったり、柔らかいイボのようになったりします。
いろいろな種類のほくろ
  • サットン母斑
    • 特徴: ほくろの周りが白く色が抜けて、白い輪(ハロー)ができている状態です。
    • 原因: 自分の免疫細胞がほくろを攻撃して起こります。子供や若者によく見られ、最終的にほくろが消えてしまうこともあります。
    • 対応: 基本的には良性ですので心配いりませんが、中心のほくろに異常がないか医師が確認します。
  • 青色母斑(せいしょくぼはん)
    • 特徴: 青色や青黒く見えるほくろです。皮膚の深い部分に色素があるため、青っぽく見えます。
    • 場所: 手の甲や足の甲、頭、お尻などによくできます。
    • 対応: 1cm未満で変化がなければ経過観察で大丈夫です。急に大きくなる場合は受診が必要です。
  • スピッツ母斑
    • 特徴: ピンク色や赤茶色のドーム状の盛り上がりで、子供や若者の顔や足によくできます。
    • 注意: 急速に大きくなることがあるため、驚かれることが多いですが、基本的には良性です。ただし、専門医による診断が重要です。
気をつけたい「爪のほくろ」

爪に黒い縦線が入ることがあります。これは爪の根元にあるほくろが原因のことが多いです。

  • 良性のサイン: 色が薄い茶色で、幅が細いもの。肌の色が濃い人種では、複数の爪に線が入ることがよくあります。
  • 注意が必要なサイン:
    • 線が濃い黒色、または色が不規則。
    • 幅が3〜4mm以上ある。
    • だんだん太くなったり濃くなったりする。
    • 爪の周りの皮膚まで黒くなっている。
「悪いほくろ(メラノーマ)」を見分けるポイント

ほとんどのほくろは良性で、予防的に取る必要はありません。しかし、以下のような特徴がある場合は、皮膚がん(メラノーマ)の可能性があるため、早めに皮膚科専門医を受診してください。

  • 大きさ: 直径が 6mm以上 ある。
  • 形: 左右非対称で、縁(ふち)がギザギザしている。
  • 色: 色むらがある(濃い部分と薄い部分が混ざっている、ピンクや白が混ざるなど)。
  • 変化: 急に大きくなった、形が変わった。
診断と治療について
  • ダーモスコピー検査: 拡大鏡のような特殊な機器を使って、ほくろの構造を詳しく観察します。痛みのない検査です。
  • 生検(バイオプシー): 悪性が疑われる場合や診断が難しい場合に、ほくろの一部または全部を切り取って顕微鏡で調べます。

気になるほくろがある場合は、自己判断せずに医師にご相談ください。

しもやけ
しもやけ(凍瘡)とは?

寒さによって手足などの血行が悪くなり、炎症が起きている状態です。

どんな症状?

  • 色: 赤や紫色に変色します。
  • 形: 腫れたり、しこり(結節)ができたりします。
  • 感覚: 強い「かゆみ」や「痛み」を伴うのが特徴です。
誰がなりやすい?

若い女性に多く見られますが、年齢や性別に関わらず、誰でも発症する可能性があります。特に、寒さに急激にさらされたり、繰り返しさらされたりすることで発症します。

なぜ「しもやけ」になるの?(原因とリスク)

寒さだけでなく、以下の条件が重なるとリスクが高まります。

  • 「濡れ」と「湿気」:
    • 靴や手袋が濡れていると、体温が奪われやすくなります。
    • 汗をかいたまま放置することも冷えの原因になります。
  • 締め付け(血行不良):
    • きつい靴やブーツ、手袋などは血行を悪くし、症状を悪化させます。
  • 生活習慣・体質:
    • 喫煙(血管を収縮させます)。
    • 栄養不足や脱水。
    • アルコールの摂取(一時的に体が温まっても、結果的に熱を逃しやすくなります)。
    • 糖尿病やレイノー現象などの持病がある方。
ご自宅でのケアと経過

治るまでの期間
通常、適切なケアを行えば2週間〜3週間で症状は自然に治まります。一度のしもやけで永続的なダメージが残ることは稀です。

ケアのポイント

  • 保温: 患部を温かく保ちましょう。
  • 清潔: 患部を清潔に保ち、傷がある場合は保護してください。
  • 禁煙: 治癒を早めるために、喫煙は控えましょう。
予防のためにできること

「しもやけ」も「凍傷」も、予防の基本は同じです。

  • 服装の工夫
    • 重ね着: ゆったりとした服を重ね着しましょう。
      • [肌着] 汗を吸って乾きやすい素材。
      • [中間] 保温性の高い素材(フリースやウール)。
      • [外側] 風や雨を通さない素材。
    • 手足の保護: 耳当て、手袋(ミトンタイプが保温性が高い)、厚手の靴下を使用しましょう。
  • 足元の注意
    • きつい靴は避ける: 血流を妨げない、余裕のある靴を選びましょう。
    • 濡れたらすぐに交換: 靴下や手袋が濡れた場合は、できるだけ早く乾いたものに交換してください。
  • その他
    • 保湿クリームに注意: 寒い屋外に出る直前に顔などに保湿クリームを塗ると、逆に熱を逃しやすくなり、リスクが高まるという報告があります。塗るタイミングに注意しましょう。
こんな時は受診してください

しもやけだと思っていても、重度の「凍傷」であったり、他の病気が隠れていることがあります。

  • 水ぶくれができている。
  • 皮膚が黒ずんでいる。
  • 3週間経っても良くならない、または悪化している。
  • 糖尿病などの持病がある。

冬の皮膚トラブルでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

肝斑

気になるそのシミ、もしかして「肝斑(かんぱん)」かも?

~ 正しい知識とケアで、透明感のある肌へ ~

肝斑(かんぱん)とは?

肝斑は、顔の皮膚にできる「シミ」の一種です。

一般的な紫外線によるシミ(老人性色素斑)とは異なり、左右対称に、ぼんやりと広がるのが特徴です。

よくできる場所
  • ほほ骨のあたり(最も多い)
  • 額(おでこ)
  • 口の周り(鼻の下など)
  • あごのライン
誰にできやすい?
  • 女性に多く見られます。
  • 特に、肌の色が少し濃いタイプの方(スキンタイプが中程度〜濃い方)に多く見られ、紫外線の強い地域に住んでいる方ほど発症しやすい傾向があります。
なぜ肝斑ができるの?(原因)

肝斑の原因は一つではありません。いくつかの要因が重なって、メラニン(色素)を作る工場である「メラノサイト」が過剰に活動してしまうことで起こります。

  • 紫外線と可視光線:
    日光はメラニンを作る最大のスイッチです。紫外線(UV)だけでなく、ブルーライトなどの「目に見える光(可視光線)」も肝斑を悪化させることがわかっています。
  • ホルモンバランス:
    妊娠、経口避妊薬(ピル)の服用、ホルモン補充療法などがきっかけになることがあります。
  • 摩擦(まさつ):
    洗顔やマッサージで肌をこすりすぎると、炎症が起きて悪化することがあります。
「普通のシミ」と何が違うの?(診断)

シミには様々な種類があり、治療法が異なります。自己判断せず、医師の診断を受けることが大切です。

シミの種類・特徴
肝斑(かんぱん)
左右対称、境界がぼんやりしている。30~40代に多い。
老人性色素斑
丸くて境界がくっきりしている。加齢とともに増える。
そばかす(雀卵斑)
小さな茶色の斑点が鼻や頬に散らばる。子供の頃からあることが多い。
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
頬などにできるグレー〜青みがかった茶色の点状のシミ。皮膚の深い層(真皮)にメラニンがあるため、通常の美白剤が効きにくい。
治療について

肝斑は「完治」させるというよりは、「コントロールして目立たなくする」治療が中心になります。根気よく続けることが大切です。

  • 塗り薬(保険適応外です。)
    肝斑のメラニンは皮膚の浅い部分(表皮)に多いため、塗り薬が効果的です。
    • ハイドロキノン: 「肌の漂白剤」とも呼ばれ、メラニンの生成を抑えます。
    • アゼライン酸、コウジ酸など: マイルドな美白作用があります。
  • 飲み薬(内服療法)
    • トラネキサム酸などが処方されることがあります。
  • ケミカルピーリング(保険適応外です。)
    • 古い角質を取り除き、メラニンの排出を助けます。
  • レーザー治療について
    • 注意が必要です: 一般的なシミ取りレーザーを肝斑に当てると、刺激でかえって色が濃くなってしまうことがあります。
    • 肝斑専用の出力設定ができるレーザー(レーザートーニングなど)を行う場合もありますが、必ず医師の判断のもとで行います。
今日からできる!ご自宅でのケア(最重要)

治療薬を使っていても、紫外線を浴びてしまえば効果は台無しです。徹底した遮光が治療の鍵です。

  • 紫外線対策(UVケア)
    • SPF30以上の日焼け止めを毎日塗りましょう(曇りの日や室内でも)。
    • 帽子、日傘、サングラスを活用し、午前11時〜午後4時の強い日差しを避けましょう。
  • 「色付き」日焼け止めがおすすめ
    • 一般的な日焼け止めは紫外線は防ぎますが、「可視光線(ブルーライトなど)」は通してしまいます。
    • 酸化鉄を含む「色付きの日焼け止め(ティントタイプ)」やファンデーション、コンシーラーは、可視光線をブロックし、肝斑の悪化を防ぐ効果が高いとされています。
  • こすらない
    • 洗顔やメイクの際は、肌をゴシゴシこすらないように優しく触れましょう。
白斑
尋常性白斑とは?

皮膚の色素を作る細胞(メラノサイト)が何らかの理由で失われ、皮膚の一部が白くなる「後天性(生まれた後に発症する)」の病気です。

人口の約0.1%~2%(およそ100人に1人)に見られ、性別や人種に関係なく発症します。
痛みやかゆみはありません。

原因は?

正確な原因は不明ですが、複数の要因が関わると考えられています。

  • 自己免疫説(最有力): 免疫システムが自分のメラノサイトを誤って攻撃してしまう。
  • 遺伝的素因: 家族に白斑の方がいると発症しやすい傾向があります。
  • その他: 酸化ストレス、神経の異常などが複雑に関係していると考えられています。
診断
  • ウッド灯検査: 特殊な紫外線(UVA)を当てると、白斑部分が青白く光って見え、診断が明確になります。
  • 血液検査: 甲状腺疾患など、他の自己免疫疾患の合併がないか調べるために行うことがあります。
【治療の選択肢】

治療の目標は、「白斑の進行を止める(安定化)」ことと、「失われた色素を再生させる」ことです。 症状の範囲や場所、進行度合いによって、以下の治療法を組み合わせます。治療反応には個人差があり、時間がかかるため、主治医と相談しながら根気強く取り組むことが大切です。

  • 外用薬(ぬり薬)
    • ステロイド外用薬: 局所の免疫反応を抑えます。
    • タクロリムス軟膏: ステロイドとは異なる仕組みで免疫を抑えます。顔や首など皮膚が薄い場所にも使いやすいお薬です。
    • JAK阻害薬: メラノサイトへの攻撃信号をブロックする新しいタイプの薬です。(※2025年現在、日本では白斑への保険適用は進行中ですが、海外では承認されています)
  • 光線療法(ひかり治療)
    • ナローバンドUVB (NBUVB):
      治療効果と安全性が確立された特定の波長の紫外線を照射します。週2~3回の通院が必要です。
    • エキシマライト / レーザー:
      より強力な光(308nm)を、白斑部分にだけピンポイントで照射します。
  • その他の治療法
    • 内服薬:
      白斑が急速に(数週間~数ヶ月で)全身に広がっている場合、進行を止める目的でステロイドを短期間内服することがあります。
    • 外科治療(手術):
      他の治療で効果がなく、1年以上症状が安定している場合に、健康な皮膚から色素細胞を移植します。
    • 脱色療法:
      白斑が体の大部分を占める場合、残った正常な皮膚の色を抜いて、色を均一にする方法です。
日常生活でのセルフケア

治療効果を高め、QOL(生活の質)を保つために、以下の点を心がけましょう。

  • 紫外線対策を万全に
    白斑部分は色素(メラニン)がないため、日焼けしやすく、ダメージを受けやすい状態です。
    • 日焼け止め(SPF30以上推奨)をこまめに塗る。
    • 帽子、日傘、長袖などで肌を守る。
  • 皮膚への刺激を避ける
    衣類による摩擦、きついベルトや下着の締め付けなどは、新たな白斑の引き金(ケブネル現象)になることがあります。
  • カモフラージュ(外見のカバー)
    外見が気になる場合、専用のファンデーションやコンシーラーなどで白斑を目立たなくすることができます。
Q&A よくあるご質問
人にうつりますか?
いいえ。尋常性白斑は感染症ではありません。絶対にうつりません。
治りますか?
慢性の経過をとることが多い病気ですが、治療によって色素を再生させたり、進行をコントロールしたりすることは可能です。
食事で気をつけることは?
特定の食品が白斑を悪化させるという科学的根拠は今のところありません。バランスの良い食事を心がけましょう。

外見の変化によるストレスや悩みは、決して一人で抱え込まないでください。不安なことは主治医や看護師にご相談ください。

金属アレルギー

知っておきたい「金属アレルギー」のこと

~ アクセサリーだけじゃない? 身近に潜む原因と対策 ~

金属アレルギーとは?

金属が汗などでわずかに溶け出し、体内の成分と結びつくことで、体がそれを「異物」と認識して過剰に反応してしまう状態です。 医学的には「アレルギー性接触皮膚炎」の一種に分類されます。

主な症状
  • 接触部位の炎症: ネックレスや時計、ピアスなどが触れていた場所が赤くなり、かゆみやブツブツが出ます。
  • 全身性金属アレルギー: 口の中の金属(歯科治療など)や、食べ物に含まれる微量な金属が原因で、手足など全身に汗疱(水ぶくれ)や湿疹が出ることがあります。
原因となりやすい「3大金属」
日常生活で触れる機会が多く、アレルギーを起こしやすい代表的な金属です。
  • ニッケル (Nickel)
    ~ 最もアレルギーを起こしやすい金属 ~
    • 特徴: 加工しやすく安価なため、様々な製品の下地メッキなどに使われています。
      汗に溶け出しやすいため、夏場に症状が悪化しやすいのが特徴です。
    • 含まれるもの:
      • 安価なアクセサリー(ピアス、ネックレスなど)
      • 硬貨(お金)
      • ジーンズのボタン、ベルトのバックル、ブラジャーのホック
      • ビューラー、カミソリ
      • 食品: チョコレート、ナッツ類、豆類、缶詰食品などに比較的多く含まれます。
  • コバルト (Cobalt)
    • 特徴: ニッケルと同時にアレルギー反応を示すことが非常に多い金属です。
    • 含まれるもの:
      • 青色の顔料(アイシャドウなどの化粧品、タトゥーのインク)
      • セメント、革製品(なめし剤として)
      • 毛染め剤の一部
  • クロム (Chromium)
    • 特徴: 「六価クロム」として工業的によく使われます。
    • 含まれるもの:
      • 革製品(革靴、時計の革バンドなど)のなめし剤
      • セメント(建築関係の方に多いです)
      • メッキ製品
その他の注意すべき金属
  • 金 (Gold): 「純金(24K)」はアレルギーを起こしにくいですが、ジュエリーに使われる18Kなどは他の金属(割り金)が含まれているため注意が必要です。また、歯科用金属(詰め物)が原因となることもあります。
  • 水銀 (Mercury): かつて赤チンやワクチンの保存料(チメロサール)、古いアマルガム(歯科金属)に使われていました。
診断と検査(パッチテスト)
金属アレルギーかどうかを調べるには、「パッチテスト」が有効です。 背中に試薬(金属を溶かしたもの)を貼って、48時間後、72or96時間後、1週間後の皮膚の反応を見ます。
  • 注意点: 検査期間中は入浴や激しい運動が制限されることがあります。夏場は汗でテープが剥がれやすいため、涼しい時期に行うことが一般的です。
対策と生活の工夫
金属アレルギーは一度なると治りにくい体質ですが、原因物質を避けることで快適に過ごせます。
  • 原因金属を避ける: パッチテストで原因がわかれば、その金属を含む製品の使用を控えます。
  • アクセサリーの選び方: 「ニッケルフリー」「チタン製」「サージカルステンレス製」「プラチナ」など、アレルギーを起こしにくい素材を選びましょう。
  • 革製品に注意: クロムアレルギーがある場合は、直接肌に触れる革製品(時計バンドなど)を金属製(チタンなど)や布製に変えてみましょう。
  • 汗対策: 汗をかくと金属が溶け出しやすくなります。夏場はアクセサリーを控えたり、こまめに汗を拭き取りましょう。
歯科治療について

口の中の金属が原因(全身性金属アレルギー)と疑われる場合は、皮膚科と歯科が連携して治療を行うことがあります。歯科金属をセラミックや樹脂などに交換することで症状が改善する場合があります。

イボ
ウイルス性イボとは?

”イボ”という言葉は、皮膚の表面から盛り上がる小さなできもの全般に対して用いられる俗称です。

最も多いのはウイルスによる感染で生じるウイルス性イボ(ウイルス性疣贅)で、いくつかの種類があります。

その中でも、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)は、主に手指や足裏の皮膚にウイルスが感染しておこります。

ウイルス性イボはどんな種類があるの?

日常的によく見かけるのが、上述の尋常性疣贅で、尋常性は“ふつうの”と言う意味ですので尋常性疣贅は”ふつうのイボ”という意味になります。ほかに、顔や腕にできてあまり盛り上がらない扁平疣贅、外陰部にできる尖形コンジローマ、足の裏にできるミルメシアなどがあります。

ウイルス性イボはどうして起こるの?

ヒト乳頭腫ウイルスと呼ばれるウイルスが皮膚表面の傷から感染することにより起こります。感染した細胞がどんどん増えて皮膚の表面に盛り上がってきたものがウイルス性イボの正体です。ヒト乳頭腫ウイルスは、尖型コンジローマや子宮頸がんを引き起こすウイルスですが、尋常性疣贅とは違うウイルスのタイプです。

大人だけでなく子供もなりやすく、感染経路としては、人から人への直接接触だけでなく、プール、ジム、銭湯などでの間接接触でも感染します。

次からはウイルス性イボの中でも一般的な尋常性疣贅について解説します。

尋常性疣贅の症状は?

足底、足指、手のひら、手指などに、盛り上がりのあるしこりができます。1箇所だけでなく、複数箇所にできることもあります。最初は足にできて、触ってしまうことにより手指や手のひらに症状がひろがってしまうこともあります。

早期に発見し、治療を開始することで他の場所にひろがるのを防ぎます。

尋常性疣贅はどのように診断するの?

問診、視診、触診にて診断します。

イボは一般的にふくらみのある「できもの」のイメージですが、足の裏にできた場合には体重がかかることによってあまり隆起せず、外観が魚の目やタコと似ていることから受診が遅れがちになるケースがあります。

他の疾患との鑑別にダーモスコピー(病変部を拡大して観察する器具)を使用することがあります。表面がザラザラしていて、少しだけ削ると黒い点が見られるのがイボの特徴です。

尋常性疣贅の治療法は?

液体窒素による冷凍凝固法をおこないます。液体窒素に浸した綿棒を患部に数秒押しつけます。それを数回繰り返します。その日は入浴してかまいません。液体窒素噴霧用のスプレーを使用する場合もあります。

液体窒素による冷凍凝固法は、マイナス196℃の液体窒素でイボを凍結させることによって、感染した皮膚ごと“かさぶた”になり剥がれます。剥がれた部分の下からは新たな皮膚が再生してきます。何度かくり返すことで、ウイルスに感染した部分に免疫反応がおきて正常な皮膚になります。

この治療は、1回だけではなく1~2週間に一度程度のペースで継続してクリニックに通う治療が必要になります。そのため職場や家の近くなど、無理なく通院しやすい皮膚科を選ぶことをおすすめします。

液体窒素による凍結療法後の注意点は?

病変の部位や深さによっては冷凍凝固法で冷やす際や後に痛みを感じることがあります。痛みが強い場合には、加減を調整しますのでご遠慮なくお申し付けください。当日や翌日に長時間歩いたり、運動する予定がある場合には、事前にお知らせください。足に負担がかからないように軽めに施術をいたします。

冷凍凝固法をおこなった数日後に、水ぶくれや血豆になることがあります。痛みが強い場合はクリニックへご相談ください。

当院での診療内容は?

当院では最初にウイルス性のイボなのか別のものかを診断します。

治療は、主に液体窒素による凍結療法をおこなっております。また、病変部を剥がれやすくさせるためにサリチル酸貼布剤や軟膏を使用することもあります。

さらに、当院の治療の特徴として、漢方薬内服による治療を積極的に行なっております。漢方薬の治療の適応となるのは、①液体窒素による凍結療法を行ってもなかなかよくならない場合、②小さいお子様などで凍結療法ができない場合、③多発しており液体窒素凍結療法が困難な場合などです。

さらに難治な場合は炭酸ガスレーザーで焼灼することもあります。詳細は医師にご相談ください。

水イボ

水イボ(伝染性軟属種)について

水イボは、ウイルスによる皮膚の感染症です。お子様に多く見られますが、大人にもうつることがあります。自然に治ることも多い病気ですが、周囲に広げないためのポイントを知っておきましょう。

水イボってどんなもの?
  • 見た目:直径2〜5ミリ程度の、小さく盛り上がったポツポツです。
  • 特徴:中央にくぼみがあるのが特徴で、色は肌色や白っぽく、ツヤがあります。
  • 好発部位:手のひらや足の裏を除く、体のどこにでも現れます。
  • 症状:通常、痛みはありません。かゆみを伴うことがあり、かくことで広がったり、かゆみが増強したりします。
どうやってうつるの?(感染経路)

ウイルスが皮膚に直接触れることで感染します。

  • 直接接触:患部に直接触れる、または引っかいた手で他の場所に触れる。
  • 物の共有:ウイルスが付着したタオル、スポンジ、カミソリなどを共有する。
  • 潜伏期間:ウイルスに触れてから、イボが出るまで2〜6週間ほどかかります。
日常生活で気をつけること

他の人や、自分の他の部位に広げないために以下のことに気をつけましょう。

  • 患部を隠す:日中は衣服や絆創膏でイボを覆うようにしてください。
  • 共有しない:タオルやカミソリ、衣類などは家族と分けましょう。
  • 触らない:自分でイボを潰したり、ひっかいたりしないでください。細菌感染を起こしたり、ウイルスが広がったりする原因になります。
  • 学校や園生活:絆創膏や衣服で隠れていれば、登校・登園は可能です。隠せない場合は、他の子と激しく接触する遊びは控えましょう。
治療について

健康な方の場合、水イボは数ヶ月から1年ほどで自然に治ることがほとんどです。そのため、「治療をせずに様子を見る」という選択肢もあります。

ただし、以下の理由で治療を行う場合もあります。
  • 見た目が気になる
  • 他の部位や他の人に広がるのを防ぎたい
主な治療方法
医師と相談の上、以下の方法を検討します。
  • 外用薬: 塗り薬を使用して治癒を促します。
  • 摘除(ピンセット): 専用のピンセットでイボを摘み取ります。
    痛みのケア: 処置の際の痛みを和らげるために、事前に麻酔テープ(ペンレステープなど)を患部に貼り、1時間ほど置いてから摘出します。
  • 凍結療法: 液体窒素でイボを凍らせて取り除きます。

大人の方で、性器周辺に水イボができた場合は、パートナーへの感染を防ぐため、早めの受診と治療をお勧めします。

Q&A よくあるご質問
自然に治るのを待ってもいいですか?
はい、多くの場合は自然治癒します。ただし、免疫力が低下している方の場合は長引いたり悪化したりすることがあるため、注意が必要です。
治ったらもううつりませんか?
イボが完全に消えれば、他の人にうつす心配はありません。ただし、一度治っても再度ウイルスに触れると再発する可能性があるため、注意は必要です。
ご不明な点や、治療のご希望があれば、いつでも医師・スタッフにご相談ください
たこ・魚の目

足のトラブル:「タコ」と「魚の目」について

~痛みのない快適な歩行のために~

足の裏や指にできる硬いしこり。「タコ」なのか「魚の目」なのか、どう対処すればよいのか迷っていませんか? これらは、皮膚が圧力や摩擦から身を守ろうとする防御反応ですが、放置すると痛みの原因になります。

あなたの症状はどっち?
  • 魚の目(ウオノメ:Corns)
    • 見た目:小さな円形で、中心に硬い芯があります。魚の眼球のように見えることからこう呼ばれます。
    • 場所:足の裏、足指の側面、指の間などによくできます。
    • 症状:歩いたり押したりすると、芯が神経を刺激して痛みを感じます。
  • タコ(Calluses)
    • 見た目:皮膚が厚く、硬くなり、表面がザラザラしています。魚の目のような芯はありません。
    • 場所:足の裏の付け根、かかと、親指の側面など。手や指(ペンダコやスポーツによるもの)にもできます。
    • 症状:範囲が広く、通常は痛みを感じません(厚くなりすぎると痛むことがあります)。
なぜできるの?(主な原因)
特定の場所に「圧迫」や「摩擦」が繰り返しかかることが原因です。
  • 靴が合っていない: きつすぎる靴、逆に緩すぎて中で足が滑る靴。
  • 履き方の問題:ハイヒール、靴下を履かずに靴を履く、裸足で過ごすことが多い。
  • 足の形:外反母趾(親指の付け根が出っ張る)などの変形があると、靴と擦れやすくなります。
  • 手作業やスポーツ:道具(ハンマーやラケットなど)を強く握る動作の繰り返し。
治療方法について

医療機関での治療

痛みが強い場合や、セルフケアで改善しない場合は医師による処置が必要です。
  • 角質の除去: 厚くなった皮膚を専用の器具で削ります。
  • 貼り薬(スピール膏など)による治療: 皮膚を柔らかくする成分(サリチル酸など)が含まれたパッチを数日間貼ります。皮膚が白くふやけたところで、さらに削って芯を取り除きます。これを芯がなくなるまで繰り返します。
  • インソール(中敷き)の作成: 再発を繰り返す場合や、足の変形がある場合は、足への負担を減らすための特殊な中敷き(装具)をご提案することがあります。
ご自宅でのケア(市販薬の使用)

軽度であれば、市販の「魚の目パッド」や「除去薬」を使って自分で処置することも可能です。医師から正しい貼り方や交換のタイミング(通常2〜3日ごと)の指導を受けてください。

重要:自分で処置してはいけない方

以下に当てはまる方は、決して自己判断で市販薬を使ったり、カミソリで削ったりしないでください。 足の感覚が鈍くなっていることが多く、細菌感染や深い傷(潰瘍)などの深刻なトラブルにつながる危険があります。
  • 糖尿病の方
  • 足の血行障害がある方
  • 皮膚の感覚が鈍い方
予防のためにできること
「削って終わり」ではありません。原因を取り除かないと、何度でも再発します。
  • 靴を見直す:足にフィットする靴を選びましょう。ハイヒールやつま先の細い靴は避けましょう。
  • 靴下を履く:靴との摩擦を減らすために、必ず靴下を着用しましょう。
  • 保護パッドを活用する:当たって痛い部分には、ドーナツ型のパッドなどを貼って圧力を分散させましょう。
  • 手を保護する:庭仕事やスポーツをする際は、手袋をして摩擦を防ぎましょう。
Q&A よくあるご質問
検査は必要ですか?
基本的には医師が見て診断します(視診)。
本当に魚の目ですか?
一見魚の目のように見えても、実は「ウイルス性のイボ」であることがあります。イボの場合、削ると出血したり、他の部位に広がったりします。自己判断せず、一度医師の診断を受けることをお勧めします。
多汗症

「汗の悩み」あきらめていませんか?

~ 多汗症(たかんしょう)の正しい知識と治療 ~

多汗症とは?

暑さや運動とは関係なく、必要以上にたくさんの汗が出てしまう病気です。 特に、原因となる他の病気がないのに、脇(わき)、手、足、顔など、体の一部に大量の汗をかく状態を「原発性局所多汗症(げんぱつせいきょくしょたかんしょう)」と呼びます。

こんなことでお困りではありませんか?
  • 脇(ワキ):服の汗じみが気になって、着たい服が着られない。
  • 手(テ):手をつなぐのが怖い。書類やスマホが濡れてしまう。
  • 足(アシ):フローリングに足跡がつく。靴のニオイが気になる。
  • 頭・顔:緊張すると顔から汗が滴り落ちて止まらない。
なぜ汗が多くなるの?

汗を出す指令を送る「交感神経(こうかんしんけい)」が、何らかの原因で過敏になっているためと考えられています。 遺伝的な要因も関係していると言われていますが、はっきりした原因はまだ分かっていません。 「精神的な弱さ」や「気にしすぎ」が原因ではありません。治療ができる病気です。

部位別の主な治療法
汗をかく場所や症状の重さに合わせて、最適な治療法を選びます。
  • 脇(ワキ)の多汗症
    最も治療法の選択肢が多い部位です。
    • 塗り薬(外用薬):
      • 塩化アルミニウム液: 汗の出口にフタをして汗を止めます。
      • 新薬(抗コリン薬): 2020年以降、保険適用となった新しい塗り薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)が登場し、高い効果が期待できます。
    • ボトックス注射:
      • 交感神経からの命令をブロックする注射です。1回の注射で約4〜9ヶ月効果が持続します(重症の方は保険適用になります)。
    • 医療機器による治療(マイクロ波など):
      • 汗腺を熱で破壊する治療です(ミラドライなど/自費診療です)。
  • 手・足の多汗症
    • アポハイドローション: 手の多汗症に対して、日本で初めて保険適用となった塗り薬です。1日1回寝る前に手のひらに塗ることで、発汗の指令をブロックし、汗を抑えます。
    • 塩化アルミニウム液: 手のひらや足の裏に使用します。
    • イオントフォレーシス:
      • 水を入れた容器に手足を浸し、微弱な電流を流す治療です。定期的に通院する必要がありますが、効果的で副作用が少ない治療法です。
    • ボトックス注射: 塗り薬やイオントフォレーシスで効果がない場合に検討します(自費診療です)。
  • 頭・顔の多汗症
    • 塗り薬(塩化アルミニウム液): まぶたや口に入らないよう注意して使用します。
    • ボトックス注射: 額や頭皮に注射することで効果が期待できます(自費診療です)。
    • 飲み薬(内服薬):
      • 抗コリン薬(プロバンサインなど)を内服し、全身の汗を抑えます。口の渇きや便秘などの副作用が出ることがあります。
日常生活での工夫
治療と合わせて、以下の工夫も取り入れてみましょう。
  • 制汗剤の正しい使い方: 塩化アルミニウム液などは、汗をかいていない「寝る前」に塗るのが最も効果的です。朝起きたら洗い流しましょう。
  • 靴下の選び方: 足の多汗症には、吸湿性の良い綿の靴下がおすすめです。替えの靴下を持ち歩くのも良いでしょう。
一度ご相談ください

「たかが汗」と思われがちですが、多汗症は生活の質(QOL)を大きく下げる要因になります。 現在は保険適用で効果的な治療薬も増えています。一人で悩まず、医師にご相談ください。

円形脱毛症

円形脱毛症について患者様とご家族のためのガイド

はじめに:円形脱毛症とは?
円形脱毛症は、自分自身の免疫システムが、誤って髪の毛をつくる組織(毛包)を攻撃してしまうことで起こる、慢性の自己免疫疾患です。
  • 突然、円形やまだら状に髪が抜けます。
  • 頭皮だけでなく、眉毛、まつ毛、ひげ、体毛など、毛のある場所ならどこにでも起こる可能性があります。
  • 毛根が破壊されるわけではない(非瘢痕性)ため、再び髪が生えてくる可能性は十分にあります。
  • 痛みやかゆみは、ほとんどの場合ありません。
  • 他人にうつる(伝染する)ことは絶対にありません。

生涯のうちに約50人に1人が経験すると言われており、決して珍しい病気ではありません。
年齢や性別、人種に関わらず誰にでも起こり得ます。

原因について
詳しいメカニズムはまだ不明ですが、主に以下の要因が関わっていると考えられています。
  • 自己免疫の異常:本来、体を守るべき免疫細胞が、自分の毛包を「異物」と勘違いして攻撃してしまうことが根本的な原因です。
  • 遺伝的な素因:ご家族に円形脱毛症の方がいる場合、発症しやすい傾向があることが分かっています。
  • 誘因:強い精神的ストレス、疲労、感染症などが発症の「きっかけ」になることはありますが、ストレスだけが直接の原因ではありません。
治療について

円形脱毛症には、発毛を促し、症状をコントロールするための様々な治療法があります。
治療方針は、脱毛の範囲、年齢、患者様のご希望などを考慮して、医師と一緒に決めていきます。

主な治療法
  • ステロイド外用薬(塗り薬): 脱毛範囲が狭い場合の初期治療としてよく用いられます。クリームやローションなどを脱毛部分に塗布し、免疫の働きを抑えます。
  • ステロイド局所注射: 成人の部分的な脱毛に効果的な治療法です。脱毛部分に直接ステロイドを注射し、毛包への攻撃を抑えて発毛を促します。通常4〜6週間ごとに繰り返します。
  • 紫外線療法(エキシマライトなど): 脱毛部分に特殊な紫外線を照射する治療法です。皮膚での過剰な免疫反応を抑えることで発毛を促します。痛みはなく、比較的広範囲に点在する脱毛斑などに対して行われます。効果を得るためには、週に1〜2回程度、定期的な通院が必要になります。
  • 局所免疫療法: 特殊な化学物質を脱毛部に塗り、意図的に軽いかぶれを起こすことで、毛包への攻撃を別の方向へそらす治療法です。広範囲の脱毛に有効な選択肢の一つです。
  • JAK(ジャック)阻害薬(飲み薬): バリシチニブ(オルミエント®)やリトレシチニブ(リットフーロ®)といった新しいタイプの薬です。毛包を攻撃する免疫の働きを体の内側からブロックします。脱毛範囲が広い重症の患者様に高い効果が示されています。
難治性の場合やその他の選択肢

漢方薬による治療:上記のような治療でなかなか効果が見られない難治性の場合、漢方薬が有用な選択肢となることがあります。漢方医学では、脱毛部分だけを治療するのではなく、ストレス、血行不良、免疫の乱れなど、心と体全体のバランスの乱れが原因と考えます。 体質そのものを改善し、髪が生えやすい体内環境を整えることを目的とします。 標準治療とは異なる機序で効果を発揮するので、標準治療と併用することができます。

美容的な工夫
治療と並行して、あるいは治療を選択しない場合に、見た目をカバーする工夫もQOL(生活の質)を保つ上で非常に有効です。
  • 頭皮:ウィッグ(かつら)やヘアピース、帽子、スカーフ、また頭を剃るという選択肢もあります。
  • 眉毛:眉墨や眉ティント、アートメイク(医療機関での施術を推奨)などが役立ちます。
  • まつ毛:つけまつ毛やアイラインでカバーすることができます。
最後に

円形脱毛症の経過は一人ひとり異なり、予測が難しい病気です。 思うように髪が生えてこなかったり、再発を繰り返したりして、落ち込むこともあるかもしれません。 しかし、新しい治療法も次々に開発されています。最も大切なのは、専門医である皮膚科医と相談しながら、ご自身に合った治療法や向き合い方を見つけていくことです。

口唇ヘルペス

口唇ヘルペス(こうしんヘルペス)の正しい知識とケア

~ 「ピリピリ・チクチク」したら、早めの対応を ~

口唇ヘルペスとは?
単純ヘルペスウイルス(1型)というウイルスに感染することで、唇や口の周りに小さな水ぶくれができる病気です。 「風邪の華(かぜのはな)」や「熱の華」とも呼ばれ、非常にありふれた病気です。
  • 実は多くの人が持っています:世界的に見ても50歳以下の約64%が感染しているというデータがあります。一度感染すると、ウイルスは神経の奥(神経節)に隠れ潜み、一生住み着きます(潜伏感染)。
  • 普段は免疫によって抑え込まれていますが、体が弱った時などにウイルスが暴れだし、症状が出ます(再発)。
症状の現れ方
【予兆(前駆症状)】治療のゴールデンタイム!
水ぶくれができる約24時間前から、患部に以下のような違和感が出ます。
  • ピリピリ、チクチクする
  • ムズムズする、熱っぽい
  • かゆみがある
ポイント: この「予兆」の段階でお薬を飲み始めると、水ぶくれを小さく抑えたり、治りを早めたりする効果が最も高くなります。
【症状の進行】
  • 赤く腫れる: 皮膚が赤くなります。
  • 水ぶくれ: 小さな水ぶくれが集まってできます(ウイルスがたくさん増えています)。
  • かさぶた: 水ぶくれが破れてただれ、やがて乾燥してかさぶたになります。
  • 治癒: かさぶたが取れて治ります。通常、5日〜8日程度で治癒します。
なぜ再発するの?(主なきっかけ)
免疫力が低下した時に、潜んでいたウイルスが再活性化します。
  • 疲労、ストレス、睡眠不足
  • 風邪や発熱
  • 強い紫外線(日光)を浴びた時
  • 歯科治療などの刺激
  • 月経前
治療について

ウイルスを完全に消滅させる薬はありませんが、増殖を抑えて症状を軽くするお薬があります。

飲み薬(抗ウイルス薬:バラシクロビル、ファムシクロビルなど)
  • 最も効果的です: 特に「ピリピリ・チクチク」を感じた直後(症状が出てから72時間以内、再発ならもっと早い段階)に服用すると効果が高いです。
  • PIT療法: 頻繁に再発する方は、あらかじめお薬を処方してもらい、予兆を感じたらすぐに服用する治療法が選べる場合があります(医師にご相談ください)。
塗り薬
  • 軽症の場合に使われますが、飲み薬に比べると効果は限定的です。1日に数回塗る必要があります。
人にうつさないために(感染予防)

水ぶくれの中には大量のウイルスがいます。また、症状が出ていなくても唾液などにウイルスが含まれていることがあります(無症候性排泄)。

やってはいけないこと

  • 患部を触らない: 触った手で目をこすったり、他の人に触れたりしないでください。
  • キスや食器の共用は避ける: パートナーや家族、特に赤ちゃんへの接触は避けてください(新生児が感染すると重症化することがあります)。
日常生活の注意点
  • 手洗い:患部に薬を塗った後などは、必ず石鹸で手を洗いましょう。
  • タオル:タオルやコップは共用せず、自分専用のものを使いましょう。
こんな時は早めに受診してください
  • 初めて症状が出た時: 初感染の場合、高熱が出たり口の中全体がただれたりと、症状が重くなることがあります(ヘルペス性歯肉口内炎)。
  • アトピー性皮膚炎の方: ヘルペスウイルスが広範囲に広がり「カポジ水痘様発疹症」という重い状態になることがあります。
  • 目の周りに症状が出た時: 角膜に感染すると視力に影響が出ることがあります。
  • 頻繁に再発して辛い時: 再発抑制療法(毎日お薬を飲む方法)などが適応になる場合があります。
帯状疱疹

帯状疱疹(たいじょうほうしん)について知っておきましょう

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、多くの人が子供の頃にかかる水ぼうそう(水痘)のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因で起こる病気です。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節という場所に静かに潜んでいます。そして、加齢やストレス、過労などで免疫力が低下したときに、ウイルスが再び活性化して帯状疱疹を発症します。

主な症状は、体の左右どちらか一方に、帯状に広がる痛みやピリピリとした感覚、そしてその後に現れる赤い発疹と水ぶくれです。

主な症状
症状は以下のような順番で現れることが一般的です。
  • 前触れの痛み: 発疹が出る数日前から1週間ほど前に、皮膚にピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛のような痛みが現れます。胸や背中、腹部、顔、頭部によく見られます。
  • 赤い発疹と水ぶくれ: 痛みのあった場所に、帯状に赤い発疹ができます。その後、小さな水ぶくれに変化し、3〜4日で膿を持つようになります。
  • かさぶた: 7〜10日ほどで水ぶくれが破れてかさぶたになり、通常は2〜4週間ほどで治癒します。

発熱や頭痛、だるさを伴うこともあります。

治療について
帯状疱疹の治療の主な目的は、ウイルスの増殖を抑え、皮膚症状と痛みを和らげ、合併症を防ぐことです。
  • 抗ウイルス薬: ウイルスの増殖を抑えるための飲み薬です。バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルなどが処方されます。症状が出始めてから72時間以内に飲み始めると特に効果的です。医師の指示通り、処方された期間、きちんと飲み切ることが大切です。
  • 痛み止め: 痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどが処方されます。
  • 塗り薬: 水ぶくれや発疹の状態に応じて、炎症を抑えたり細菌の感染を防いだりする塗り薬が使われることもあります。

注意すべき合併症:帯状疱疹後神経痛 (PHN)

帯状疱疹の最も一般的な合併症は帯状疱疹後神経痛 (PHN) です。これは、皮膚の発疹が治った後も、焼けるような、あるいはズキズキするような痛みが長期間(数ヶ月〜数年)続く状態です。特に高齢の患者さんに多く見られます。

早期に適切な治療を開始することが、この合併症のリスクを減らすために重要です。痛みが続く場合は、我慢せずに必ず医師に相談してください。

他の人にうつりますか?
帯状疱疹は、空気感染で他の人に「帯状疱疹として」うつることはありません。
ただし、水ぼうそうにかかったことのない人や水ぼうそうのワクチンを接種していない人が、患者さんの水ぶくれに直接触れると、水ぼうそうとして感染する可能性があります。
水ぶくれがかさぶたになるまでは、特に以下の方との接触は避けましょう。
  • 水ぼうそうにかかったことのないお子さん
  • 妊婦さん
  • 免疫力が低下している方

発疹が出ている間は、患部をガーゼなどで覆い、清潔に保つことが大切です。

迷ったときはすぐに医療機関へ
帯状疱疹は、早期発見・早期治療が非常に重要です。体の片側に原因不明の痛みや違和感を感じ、その後赤い発疹が出てきたら、できるだけ早く皮膚科を受診してください。
乾癬

乾癬(かんせん)と診断されたあなたへ

乾癬ってどんな病気?

乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり(紅斑:こうはん)、その上に銀白色のフケのようなもの(鱗屑:りんせつ)が付着し、ポロポロとはがれ落ちる、慢性の皮膚の病気です。

  • うつりません:乾癬は感染症ではないため、他の人にうつることは絶対にありません。
  • 「免疫」の異常が原因:本来は体を守るはずの免疫システムに異常が生じ、皮膚の細胞が通常よりもはるかに速いスピードで過剰に作られることで発症します。
  • 良くなったり、悪くなったりを繰り返します:症状が落ち着いている時期(寛解)と、悪化する時期(再燃)を繰り返すのが特徴です。適切な治療を続けることで、症状をコントロールすることができます。
乾癬の種類

乾癬にはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)で、患者さんの約9割を占めます。頭、ひじ、ひざ、おしりなど、こすれやすい部分によく見られます。

その他、小さな水滴のような発疹が全身に出る滴状乾癬(てきじょうかんせん)や、膿がたまる膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)などがあります。

なぜ乾癬になるの?

乾癬の根本的な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関わっていると考えられています。

  • 遺伝的な要因:もともと乾癬になりやすい体質の方がいると考えられています。ご家族に乾癬の方がいる場合、発症リスクが少し高まることがあります。
  • 環境的な要因:遺伝的な要因を持つ人に、以下のような様々な刺激が加わることで発症・悪化することがあります。
  • ストレスや不規則な生活
  • 肥満、喫煙、過度の飲酒
  • 風邪などの感染症
  • 薬剤(一部の降圧薬など)
  • 皮膚への刺激(こする、傷など)
乾癬は皮膚だけの病気じゃないの?

乾癬は皮膚だけでなく、全身に影響を及ぼす可能性がある「全身性の炎症性疾患」と考えられています。特に、乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)は重要な合併症です。

乾癬性関節炎とは?

乾癬の患者さんの約15%にみられ、関節に痛みや腫れ、こわばりなどが生じます。指や足の趾(ゆび)、背骨など、様々な関節に起こる可能性があります。放置すると関節が変形することもあるため、朝起きた時に関節がこわばる、指がソーセージのように腫れるなどの症状があれば、すぐに主治医に相談してください。

その他にも、メタボリックシンドローム、心血管疾患、糖尿病などのリスクが通常より高いことが報告されています。

どんな治療法があるの?
乾癬の治療目標は、症状をコントロールし、患者様が快適な日常生活を送れるようにする ことです。治療法は大きく3つに分けられ、症状の範囲や重症度、ライフスタイルに合わせ て選択されます。
  • 塗り薬(外用療法)
    症状が軽い場合や、範囲が狭い場合の基本的な治療です。
    • ステロイド外用薬:炎症を抑える最も一般的な薬です。
    • ビタミンD3外用薬:皮膚細胞の異常な増殖を抑えます。
  • 光線療法(紫外線療法)
    塗り薬で効果が不十分な場合や、範囲が広い場合に選択されます。医療機関で、治療に有効な特定の波長の紫外線を照射します。
  • 飲み薬・注射(全身療法)
    症状が重い場合や、関節炎を合併している場合に用いられます。免疫の働きを調節する薬です。
    • 飲み薬:レチノイド、シクロスポリン、アプレミラストなど
    • 注射(生物学的製剤):近年登場した新しい治療法で、乾癬の原因となる物質に直接作用するため、非常に高い効果が期待できます。
日常生活で心がけたいこと
  • 保湿を心がける:皮膚の乾燥は症状を悪化させます。入浴後などは保湿剤でケアしましょう。
  • 皮膚への刺激を避ける:衣類は肌触りの良いものを選び、体を洗う時もゴシゴシこすらないようにしましょう。
  • バランスの良い食事と適度な運動:肥満は乾癬を悪化させる要因の一つです。健康的な生活を送りましょう。
  • ストレスをためない:自分に合ったリラックス方法を見つけ、心身の健康を保ちましょう。
  • 禁煙・節酒:喫煙や過度の飲酒は症状を悪化させることが知られています。

乾癬は、長く付き合っていく必要のある病気ですが、近年、治療法は大きく進歩しています。一人で悩まず、医師や医療スタッフに何でも相談してください。あなたに合った治療法を見つけ、一緒に症状をコントロールしていきましょう。

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)について

~ 正しい知識で、根気よく治療していきましょう ~

掌蹠膿疱症とは?

手のひら(掌)や足の裏(蹠)に、ウミの溜まった小さな水ぶくれ(膿疱)が繰り返しできる病気です。 膿疱は数日で乾燥して茶色っぽいカサブタになり、皮がめくれて剥がれ落ちます。このサイクルを何度も繰り返すのが特徴です。

主な症状
  • 皮膚症状: 小さな水ぶくれ、赤み、皮むけ、ひび割れ(亀裂)。
  • 感覚: かゆみや痛み、灼熱感を伴うことが多いです。
  • 生活への影響: 足の裏に症状が出ると歩行が困難になったり、手の症状により日常動作がしづらくなったりすることがあります。

大切なポイント:人にはうつりません

名前に「膿(ウミ)」とつきますが、中身に細菌やウイルスは入っていません(無菌性膿疱といいます)。 そのため、触れても他人に感染することはありません。

なぜなるの?(原因と悪化要因)

はっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が複雑に関係していると考えられています。

  • 喫煙(タバコ): 最も関連が深い因子です。患者様の多くが喫煙者、または過去に喫煙歴があることが分かっています。
  • 病巣感染(慢性的な感染症): 扁桃炎(へんとうえん)、虫歯や歯周病、副鼻腔炎(ちくのう症)など、体のどこかに慢性的な炎症がある場合、それが引き金になることがあります。
  • その他: ストレス、金属アレルギー(歯科金属など)、遺伝的な体質なども関与している可能性があります。
皮膚以外の症状について

皮膚だけでなく、爪や骨・関節に影響が出ることがあります。

  • 爪の変形: 爪が変色したり、凹凸ができたり、剥がれたりすることがあります。
  • 骨・関節の痛み: 一部の患者様(日本では約20〜30%といわれます)に、鎖骨や胸の中央(胸骨)、肋骨などの関節痛が現れることがあります(SAPHO症候群など)。
検査と診断

基本的には皮膚の状態を見て診断しますが、他の病気と区別するために以下の検査を行うことがあります。

  • 顕微鏡検査: 水虫(白癬菌)ではないことを確認します。
  • その他: 必要に応じて、皮膚生検(皮膚の一部を採取して調べる)、血液検査、レントゲン検査などを行うことがあります。
治療について

この病気は良くなったり悪くなったりを繰り返す「慢性」の病気であり、治療は長期戦になることが多いです。根気よく続けることが大切です。

  • 日常生活でのケア
    • 禁煙:喫煙は症状を悪化させる最大の要因の一つです。禁煙を強くお勧めします。
    • 保湿:皮膚のひび割れを防ぐため、保湿剤(ワセリンや保湿クリーム)をこまめに塗りましょう。
    • 刺激を避ける:洗剤や石鹸による刺激を避けるため、水仕事の際は手袋を使用しましょう。
  • お薬による治療 症状の重さに応じて、以下のような治療を組み合わせます。
    • 塗り薬(外用療法):
      • ステロイド軟膏: 炎症を抑える基本の薬です。効果を高めるために、薬を塗った上からフィルムやガーゼで覆う方法(密封療法)を行うこともあります。
      • 活性型ビタミンD3軟膏: 皮膚の角化を調整します。
    • 光線療法(紫外線療法):
      • 患部に特定の波長の紫外線(エキシマライトなど)を当てる治療法です。
    • 飲み薬(全身療法):
      • PDE4阻害薬(オテズラ):炎症を引き起こす物質の産生を抑えるお薬です。長期間使用でき、事前の検査も比較的少ないのが特徴です。飲み始めに「吐き気」や「下痢」などの副作用が出ることがありますが、数週間で落ち着くことが多いです。
      • 免疫抑制剤:シクロスポリンなど、過剰な免疫反応を抑えるお薬を使用することもあります。
      • 漢方薬:患者様の「体質(証)」に合わせて処方します。血行を改善したり、体にこもった熱を冷ましたりすることで、膿疱ができにくい体質へ整えることを目的とします。西洋薬と併用することも可能です。
    • その他の治療:
      • 扁桃炎や歯科感染が原因と疑われる場合、扁桃摘出術や歯科治療を行うことで皮膚症状が改善することがあります。
      • 重症で他のお薬が効かない場合、生物学的製剤(注射薬)が検討されることもあります。
経過と見通し

掌蹠膿疱症は、数年から数十年単位で続くことがある病気です。 しかし、適切な治療と生活習慣の見直し(特に禁煙や感染症の治療)を行うことで、症状をコントロールし、快適な生活を送ることは可能です。

焦らず、主治医と相談しながら、あなたに合った治療法を見つけていきましょう。

皮膚潰瘍

足の「治りにくい傷(潰瘍)」について

~原因を知り、適切な治療につなげるために~

はじめに:皮膚潰瘍(ひふかいよう)とは?

「皮膚潰瘍」とは、皮膚の表面(表皮)だけでなく、その下の深い組織(真皮や皮下組織)まで傷が及んでいる状態のことです。 単なる「傷」ではなく、背景に何らかの病気が隠れているサインであることがほとんどです。そのため、傷そのものの治療だけでなく、「なぜその傷ができたのか」という原因を突き止めることが最も重要です。

9割を占める「3大原因」
足の潰瘍の原因は様々ですが、約90%は以下の「静脈」「動脈」「神経」のいずれか、また はその組み合わせによるものです。
  • 静脈性潰瘍(じょうみゃくせいかいよう)
    【最も多い原因です】
    • 原因: 足の静脈の弁が壊れ、血液が心臓に戻りにくくなり、足にうっ滞することで起こります(下肢静脈瘤など)。
    • 特徴:
      • ふくらはぎ〜足首(特にくるぶし周辺)によくできます。
      • 傷は浅く、縁がギザギザしており、底に黄色い苔のようなものが付着します。
      • 痛みは軽度~中等度です。
      • 足のむくみや、茶色いシミ(色素沈着)を伴うことが多いです。
  • 動脈性潰瘍(どうみゃくせいかいよう)
    【血流不足による傷です】
    • 原因: 動脈硬化により血管が狭くなり、足先に十分な血液や栄養が届かなくなること(閉塞性動脈硬化症など)が原因です。糖尿病、喫煙、高血圧などがリスクとなります。
    • 特徴:
      • 足の指先、かかと、すねなど、骨が出っ張っている場所によくできます。
      • まるでパンチで穴を開けたような、くっきりとした深い傷になります。
      • 非常に強い痛みを伴うのが特徴です。
      • 足が冷たい、脈が弱い、皮膚がテカテカして毛が抜けるなどの変化が見られます。
  • 神経障害性潰瘍(糖尿病性潰瘍など)
    【痛みを感じないため重症化しやすいです】 糖尿病患者さんの約25%(4人に1人)が、生涯のうちに足の潰瘍を発症するといわれています。
    • 原因: 糖尿病などの影響で神経が麻痺し、靴擦れや怪我に気づかないまま傷が悪化してしまいます。
    • 特徴:
      • 足の裏や指の付け根など、体重がかかる場所にできます。
      • 傷の周りに分厚いタコ(角質)ができていることが多いです。
      • 深くえぐれたような傷ですが、痛みを感じない(無痛)のが最大の特徴です。

※静脈と動脈の両方に原因がある「混合型」も約18%見られます。

その他の原因(約1割)

残りの約10%には、以下のような様々な原因が含まれます。

  • 物理的要因:床ずれ(褥瘡)、火傷、外傷など。
  • 感染症:細菌、真菌(カビ)、虫刺され(クモなど)によるもの。
  • 血管炎:膠原病などが背景にあり、血管に炎症が起きる病気。
  • 皮膚がん:3ヶ月以上治らない潰瘍を詳しく調べたある研究では、約7%に皮膚がんが見つかっています。長期間治らない傷は、悪性腫瘍の可能性も否定できません。
  • 薬剤:特定の薬剤(ワーファリンやヒドロキシウレアなど)の副作用。
検査と診断について

正しい治療のためには、正しい診断が不可欠です。

  • 視診・触診: 傷の見た目、場所、足の脈拍、むくみの有無などを確認します。
  • 超音波検査(エコー): 静脈の流れや逆流がないか調べます。
  • ABI検査(足関節上腕血圧比): 足と腕の血圧を比較し、動脈の詰まりがないか調べます。
  • 皮膚生検: 傷がなかなか治らない場合や、特殊な病気(血管炎や皮膚がんなど)が疑われる場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査を行うことがあります。
こんな時は早めにご相談ください

足の傷は「そのうち治るだろう」と放置すると、感染を起こしたり、最悪の場合は足を切断しなければならなくなることもあります。以下のような場合は専門医(皮膚科、形成外科、血管外科など)を受診してください。

  • 3ヶ月以上治療しても治らない。
  • 急激に傷が大きくなっている。
  • 激しい痛みがある。
  • 傷の周りが赤く腫れ、熱を持っている(感染の疑い)。
  • 黒いカサブタのようなものができている(壊死の疑い)。
陥入爪・巻き爪

足の親指が痛い!その「陥入爪(かんにゅうそう)」と「巻き爪」について

~ 正しいケアと治療で、痛みのない生活を ~

陥入爪(かんにゅうそう)とは?

爪の角が周囲の皮膚(肉)に食い込んでしまい、炎症を起こして痛くなる状態のことです。
一般的に「巻き爪」と呼ばれることもありますが、医学的には「爪が皮膚に刺さって炎症を起こしている状態」を指します。 若い世代の足の親指に最も多く見られますが、誰にでも起こりうるトラブルです。

なぜなってしまうの?(主な原因)

多くの場合、日常生活の中に原因があります。

  • 深爪(切りすぎ): 最も多い原因です。痛いからといって爪の角を深く切り落とすと、残った爪のトゲが伸びてくる時に皮膚に突き刺さります。
  • 靴の選び方: 先の細い靴や、サイズが合わない靴(きつい靴・ぶかぶかな靴)による圧迫。
  • 足への負担: 肥満、スポーツによる衝撃、立ち仕事など。
  • 爪の形: 生まれつき爪が巻きやすい、足の変形(外反母趾)など。
症状の進行レベル
あなたの指はどの段階ですか?
  • 【ステージ 1】軽度
    • 少し赤く腫れている。
    • 触ったり、きつい靴を履いたりすると痛い。
  • 【ステージ 2】中等度
    • 赤みと腫れが強い。
    • 膿(うみ)が出たり、ジュクジュクしている。
    • 痛みが強く、歩くのがつらい。
  • 【ステージ 3】重度
    • 食い込んだ部分の皮膚が盛り上がり、「肉芽(にくげ)」と呼ばれる赤いしこりができている。
    • 治りにくく、出血しやすい。
治療方法について
症状の段階や、患者様の希望に合わせて治療法を選択します。
  • 保存的治療
    軽度〜中等度(ステージ1〜2)の方におすすめです。
    • コットンパッキング法: 爪の角と皮膚の間に、小さな綿(コットン)を挟み込み、クッションにして食い込みを防ぎます。即効性があり、痛みが楽になります。
    • テーピング法: テープを使って、爪が食い込んでいる皮膚を外側に引っ張り、爪と皮膚の間を広げます。
    • ガター法(チューブ挿入): 爪の縁に柔らかいチューブを被せて保護し、皮膚への食い込みを防ぎます。
    • 人工爪: 深爪で短くなりすぎた爪の上に、医療用のアクリル樹脂などを塗り、人工的に爪の長さを作ります。爪の角が皮膚に刺さるのを防ぎながら、正しい長さまで伸ばすのを助けます。
    • 爪の矯正(ワイヤーなど): 特殊な器具を使って、巻いている爪を平らに広げます。
  • 外科的治療
    重度(ステージ3)の方、あるいは繰り返す難治性の方が対象です。
    • フェノール法(食い込んだ爪の根元を処理する方法): 局所麻酔をした上で、食い込んでいる端の爪だけを取り除きます。その後、薬品(フェノール)で「爪を作る工場(爪母)」を処理し、食い込む部分の爪が生えてこないようにします。
      • メリット:再発率が低く、痛みも比較的少ない方法です。
      • 注意:爪の幅が少し狭くなります。
ご自宅でできるケアと予防

正しい爪の切り方(スクエアオフ)

これが最も重要です!
  • 四角く切る:爪の先端を真っ直ぐに切り、角は少し残します(角を深く切り落とさないでください)。
  • 長さ:指の肉と同じか、少し長いくらいが理想です(白い部分を1mm程度残す)。
足浴(そくよく)
  • 軽度の炎症であれば、1日2回、温かい石鹸水に10〜20分ほど足を浸すと、清潔に保たれ、炎症が和らぐことがあります。
靴の見直し
  • つま先が広く、圧迫の少ない靴を選びましょう。

ご注意ください

「痛いから」といって、ご自身で爪の角を深く切り込むことは絶対にやめてください。一時的に痛みは引きますが、爪が伸びてくるときにさらに深く食い込み、症状が悪化してしまいます。

痛みがある場合や、膿が出ている場合は、我慢せずに早めにご相談ください。
粉瘤

皮膚の「しこり」や「できもの」について

~ 粉瘤(ふんりゅう)・その他の嚢腫(のうしゅ) ~

皮膚の下にできる「しこり」には様々な種類があります。 最も一般的なものは「粉瘤(ふんりゅう)」と呼ばれますが、できる場所や特徴によって診断や治療法が異なります。

粉瘤(ふんりゅう)

~ 最もよくある「しこり」です ~

どんな病気?

皮膚の下に「袋」ができ、その中に本来剥がれ落ちるはずの「垢(角質)」や皮脂が溜まってしまう良性の腫瘍です。「脂肪の塊」と誤解されがちですが、中身は脂肪ではありません。

特徴
  • 場所:顔、首、背中など、体のどこにでもできます。
  • 見た目:皮膚がドーム状に盛り上がります。中心に黒い点(開口部)が見えることがあります。
  • 中身:強く押すと、臭いのあるドロドロした内容物が出てくることがありますが、無理に潰さないでください。

放置するとどうなる?

自然に消えることはほとんどありません。 徐々に大きくなるほか、袋が破れると強い炎症(痛み・赤み・腫れ)を引き起こすことがあります(炎症性粉瘤)。

よく似たその他の「しこり」
診断によっては、粉瘤とは少し異なるタイプの場合があります。
  • 稗粒腫(はいりゅうしゅ)
    • 特徴:目の周りや頬によくできる、直径1〜2mmの白く硬い小さな粒です。
    • 原因:毛穴や汗の管に角質が溜まったものです。新生児から大人まで幅広く見られます。また、火傷や擦り傷の治癒後にできることもあります。
    • 治療:美容的に気になる場合は、針で小さな穴を開けて中身を押し出します。
  • 外毛根鞘性嚢腫(がいもうこんしょうせいのうしゅ)
    • 別名:頭部粉瘤(とうぶふんりゅう)とも呼ばれます。
    • 特徴:頭皮にできることが多く、硬くてしっかりしたしこりです。遺伝的な体質で、複数個できることもあります。
    • 治療:粉瘤よりも袋の壁が厚くて丈夫なため、手術で「つるん」と取り出しやすいのが特徴です。
  • 粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)
    • 口唇粘液嚢胞:唇(特に下唇)にできる水ぶくれのようなもの。噛んでしまうなどの外傷で唾液腺が詰まることが原因です。
    • 指趾粘液嚢腫:指の第一関節や爪の付け根にできる透き通ったしこり。関節液が漏れ出したものです。
治療について
皮膚の嚢腫(袋)は、飲み薬や塗り薬では袋そのものを消すことはできません。根治するた めには処置が必要です。
  • 炎症がない場合(手術)
    袋ごと取り除く手術(摘出術)が基本です。
    • 通常の手術:皮膚を紡錘形に切開し、袋を破らないように取り出します。
    • くり抜き法(へそ抜き法):特殊な器具で小さな穴を開け、中身を出した後にしぼんだ袋を引き抜く方法です。傷跡が小さく済みます(※大きさや状態によります)。
  • 赤く腫れて痛い場合(炎症がある時)
    袋が破れて炎症を起こしている状態です。まずは炎症を抑える処置を優先します。
    • 切開排膿:麻酔をして皮膚を少し切り、溜まった膿(うみ)を出します。痛みが速やかに楽になります。
    • 抗生剤・注射:状況に応じて、抗生物質の内服や、炎症を抑える注射(ステロイド)を行うことがあります。

※注意: 炎症が落ち着いた後、数ヶ月待ってから改めて袋を取り除く手術を行うことをお勧めします(炎症時は袋がボロボロになっており、きれいに取り除くことが難しいためです)。

ご自宅での注意点

絶対に無理に潰したり、絞り出したりしないでください! 袋が皮膚の中で破裂すると、異物反応により強い炎症が起き、痛みや腫れが悪化します。また、傷跡がきれいに治りにくくなります。

「大きくなってきた」「赤く腫れてきた」「痛い」と感じたら、早めに医師にご相談ください。

脂肪腫

皮膚の下のやわらかいしこり「脂肪腫」について

~ 良性の「脂肪のかたまり」です ~

脂肪腫(しぼうしゅ)とは?

いわゆる「脂肪のかたまり」のことです。 皮膚の下(皮下組織)にある脂肪細胞が増殖してできた良性の腫瘍で、薄い膜(カプセル)に包まれています。 皮膚の良性腫瘍の中で一般的なもので、体のどこにでもできますが、特に背中、肩、腕、お腹周りによく見られます。

主な特徴

  • 手触り:柔らかく、皮膚の下でクリクリと動く感じです。
  • 痛み:通常、痛みはありません。
  • 大きさ:1cm程度の小さなものから、10cmを超える大きなものまで様々です。
  • 数:1個だけのこともあれば、複数個できることもあります。
検査と診断

基本的には、医師が触診(触って確認)することで診断できます。 しかし、見た目が似ている「粉瘤(ふんりゅう)」や「ガングリオン」と区別するため、あるいは脂肪腫の深さや大きさを確認するために、超音波検査(エコー)を行うことがあります。

注意が必要な場合

脂肪腫が「悪性(脂肪肉腫)」に変化することは極めて稀ですが、以下のような特徴がある場合は、詳しく調べるために組織検査(生検)やMRI検査を行うことがあります。

  • 急激に大きくなっている。
  • 触ると硬い。
  • 動きが悪く、奥の方に固定されている感じがする。
  • 痛みがある。
治療について

脂肪腫は良性ですので、小さくて症状がなければ、そのまま様子を見ても(放置しても)問題ありません。ただし、飲み薬や塗り薬で小さくすることはできないため、取る場合は手術が必要です。

手術を検討するタイミング

  • 痛みがある場合(または動きが制限される場合)。
  • 見た目が気になる場合(美容的な理由)。
  • 診断をはっきりさせたい場合(悪性でないか心配な時)。

治療法:外科的摘出術(日帰り手術)

局所麻酔を行い、皮膚を切開して、脂肪の塊をカプセルごと取り出します。

  • 傷跡:できるだけ目立たないように縫合しますが、細い線状の傷跡は残ります。
  • 再発:きれいに取り除けば、同じ場所に再発することは稀です。
特殊なタイプの脂肪腫
「痛い」「たくさんある」といった場合は、通常の脂肪腫とは少し異なるタイプ(亜型)の可能性があります。
  • 血管脂肪腫(けっかんしぼうしゅ)
    • 特徴: 若い人(思春期〜若年成人)の腕や胸によくできます。
    • 症状: 通常の脂肪腫と見た目は似ていますが、「痛み(圧痛)」を伴うのが特徴です。
    • 原因: 脂肪の中に血管成分が多く含まれているためです。
  • 多発性脂肪腫(たはつせいしぼうしゅ)
    体にたくさんの脂肪腫ができる体質です。いくつかのタイプがあります。
    • 家族性多発性脂肪腫: 遺伝的な要因で、腕や胴体、足に多数の脂肪腫ができます。
    • 良性対称性脂肪腫: 首や肩周りに左右対称に脂肪が沈着します。中年男性に多く、アルコールの多飲や肝障害との関連が指摘されています。
    • ダーカム病(有痛性脂肪腫): 肥満傾向の女性に多く、痛みのある脂肪腫が多数でき、倦怠感などを伴う稀な病気です。
日常生活での注意点

脂肪腫は、押したり揉んだりしても小さくなることはありません。むしろ刺激になることがあるため、あまり触りすぎないようにしましょう。

「最近急に大きくなった気がする」「痛みが出てきた」など、変化を感じた場合は早めに受診してください。

蜂窩織炎

蜂窩織炎(ほうかしきえん)について

~症状・治療・ご家庭でのケア~

蜂窩織炎とは?

皮膚の深い部分(真皮から皮下脂肪組織)に細菌が感染し、炎症を起こす病気です。 皮膚のバリア機能が何らかの原因で破れ、そこから細菌(主にレンサ球菌やブドウ球菌)が入り込むことで発症します。

よくある症状:

  • 赤み・腫れ: 患部が赤く広がり、腫れあがります。
  • 熱感・痛み: 触ると熱く、痛みを感じます。
  • 全身症状: 発熱、悪寒(さむけ)、だるさ、頭痛が出ることがあります。
  • 発生場所: 足(下肢)に最も多く見られますが、顔や手など体のどこにでも起こります。通常は片側に発生します。
なぜなるの?(原因とリスク)

健康な人でも発症しますが、以下のような方はかかりやすくなります。

  • 皮膚のトラブルがある方:
    • 水虫(足白癬)、特に指の間のただれ
    • すり傷、虫刺され、床ずれ
    • 湿疹やかぶれ
  • 足のむくみ(浮腫)がある方: 静脈瘤やリンパ浮腫など。
  • 免疫力が低下している方: 糖尿病、高齢の方など。
  • 肥満の方

ポイント: 「水虫」や「かかとのひび割れ」のような小さな隙間が、細菌の入り口になることが非常に多いです。

診断と検査

基本的には、医師が皮膚の状態を見て診断します(視診・触診)。

  • 健康な方で軽症の場合は、特別な検査をしないことも多いです。
  • 重症度を判断するために、血液検査を行うことがあります。
  • 膿(うみ)が溜まっている場合(膿瘍)は、培養検査を行うことがあります。
治療について
主な治療は「抗生物質」と「患部のケア」です。
  • お薬による治療
    • 飲み薬(内服): 軽症の場合は、抗生物質を飲みます。通常5〜14日間程度服用します。
    • 点滴(静注): 高熱がある、赤みが急速に広がっている、免疫力が低下している場合などは、入院して点滴治療を行うことがあります。
  • ご家庭でのケア(重要!)
    薬を飲むだけでなく、以下のケアが治りを早くします。
    • 患部を高く上げる(挙上):
      • 足にできた場合、横になって足を心臓より高い位置(クッションの上など)に上げると、腫れが引きやすくなり、抗生物質の効きも良くなります。
    • 安静にする:
      • 無理に動き回ると炎症が悪化することがあります。
    • 皮膚を清潔に保つ:
      • 水虫がある場合は、その治療も併せて行うことが再発予防に重要です。
注意!すぐに再受診が必要なサイン

治療を開始してからも、以下のような症状が見られた場合は、すぐにクリニックへ連絡するか受診してください。

  • 赤みが急速に広がっている(数時間で範囲が広がるなど)。
  • 痛みが激しくなり、我慢できない。
  • 皮膚の色が紫色や黒色に変化してきた。
  • 高熱が出て、意識がぼーっとする。
  • 抗生物質を2〜3日飲んでも症状が良くならない(または悪化する)。
再発を防ぐために

蜂窩織炎は、一度治っても同じ場所で再発することがあります(1年以内の再発率は約14%、3年以内では45%という報告もあります)。

予防のポイント:

  • スキンケア: 皮膚の乾燥を防ぎ(保湿)、ひび割れを作らないようにしましょう。
  • 水虫の治療: 足の指の間などは清潔に保ち、水虫は根気よく治療しましょう。
  • むくみのケア: 弾性ストッキングの使用などが有効な場合があります(医師にご相談ください)。
  • 傷の手当て: 小さな傷や虫刺されでも放置せず、清潔にして保護しましょう。
皮膚がん

気になる「皮膚のできもの」ありませんか?

~ 皮膚がんの基礎知識 ~

ふと鏡を見たとき、あるいは体を洗っているとき、「こんなところにホクロあったかな?」「シミが盛り上がってきたような…」と気になったことはありませんか? 皮膚のトラブルの多くは良性ですが、中には「皮膚がん」や「がんの一歩手前」の状態が含まれていることがあります。 このパンフレットでは、クリニックでよく見られる代表的な皮膚の悪性腫瘍について解説します。

日光角化症(にっこうかくかしょう)

長年にわたって紫外線を浴び続けたことが原因で、皮膚の細胞が変化してしまった状態です。「前がん病変(がんの卵)」と呼ばれます。

  • どんな症状?
    • 顔、頭(髪の薄い部分)、手の甲など、日がよく当たる場所にできます。
    • 赤みがあり、表面がカサカサ、ザラザラしています。
    • かさぶたが何度もできたり、触ると硬かったりします。
  • 放置すると?
    • 数%〜10%程度が、次に説明する「有棘細胞癌(扁平上皮癌)」に進行すると言われています。
    • この段階で治療(塗り薬や液体窒素など)を行えば、がんへの進行を防ぐことができます。
基底細胞癌(きていさいぼうがん)

~ 日本人で最も多い皮膚がん ~

皮膚の表皮の底にある基底細胞ががん化したものです。

  • どんな症状?
    • 「黒っぽいできもの」として現れることが多く、ホクロと間違われやすいです。
    • 日本人などの有色人種では黒くなることが多いですが、欧米人では赤やピンク色の場合もあります。
    • 特徴: 表面が真珠のようにツヤツヤしていたり、少し透き通って見えたりします。中心が崩れて潰瘍(ただれ)になり、出血することもあります。
  • 性質は?
    • 転移することは極めて稀ですが、放っておくと皮膚の奥深くや周囲の組織を壊しながら大きくなります。
有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)/扁平上皮癌

~ 表面がイボのように盛り上がるがん ~

皮膚の表面を作る有棘層(ゆうきょくそう)の細胞ががん化したものです。日光角化症から進行して発生することもあります。

  • どんな症状?
    • 赤みを帯びたしこりや、イボのようにゴツゴツと盛り上がった病変ができます。
    • 表面がジュクジュクしたり、独特な臭いがしたりすることもあります。
    • ボーエン病: がんが皮膚の浅いところにとどまっている段階(表皮内がん)です。湿疹のように赤いカサカサした斑点に見え、薬を塗っても治らないのが特徴です。
  • 性質は?
    • 進行するとリンパ節や他の臓器に転移する可能性があります(転移率は約2〜5%と報告されています)。早期発見・早期治療が大切です。
悪性黒色腫(メラノーマ)

~ 早期発見が非常に重要な皮膚がん ~

メラニン色素を作る「メラノサイト」ががん化したものです。皮膚がんの中では悪性度が高く、進行が早いのが特徴です。

  • どんな症状?
    • 「黒いシミ」や「いびつなホクロ」のように見えます。
    • 足の裏や手のひら、爪など、普段あまり気にしない場所にもできることがあります。
  • 良性のホクロとの見分け方(ABCDルール)
    • Asymmetry(非対称): 形が左右対称ではない。
    • Border(境界): 縁(ふち)がギザギザしてぼやけている。
    • Color(色): 色ムラがある(濃い黒、茶色、青、白などが混ざる)。
    • Diameter(大きさ): 直径が6mmを超えている。
    • Evolving(変化): 急に大きくなったり、色や形が変わったりする。

診断と治療について

「これって、がんかな?」と心配になったら、自己判断せずに必ず医師にご相談ください。

  • 検査(ダーモスコピー・生検): 拡大鏡(ダーモスコピー)で皮膚の奥の状態を観察したり、皮膚の一部を採取(生検)して顕微鏡で調べることで確定診断を行います。
  • 治療: 基本的には手術による切除が第一選択です。がんの種類や進行度によっては、放射線治療、塗り薬による治療、あるいは全身的な薬物療法(抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬など)を行うこともあります。

【予防】紫外線対策を忘れずに!

皮膚がんの多くは「紫外線」が主な原因です。

  • 日焼け止めをこまめに塗る。
  • 帽子や日傘を活用する。
  • 特に日光角化症などのリスクがある方は、日常的な紫外線対策が皮膚がん予防につながります。

「治らない湿疹」「急に大きくなったホクロ」があれば、早めに皮膚科へご相談ください。